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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

CAPTAIN MARVEL

STAN GETZ  1972年録音

この寝癖ボーヤはいったい誰だ?

 キャプテン・マーベルって、 あのマーベル・コミックスのヒーローですよね。スーパーマンに良く似た奴で、あんまり似すぎてたもんだから訴訟になったとかいう奴です。アメ公ってのは、なんでもかんでも訴訟にして金をかっぱらってやろうなんて考える一方で、『ジャングル大帝』をパクって知らん顔なんですから、つくづく厚かましいというか独善的というかクソッタレのファッキン野郎ですね。

 と、まぁ、そんなことはさておき、このアルバムは、フレディ・マッコイの『スパイダーマン』みたいにジャケットからしてオタク丸出しなんてこともなく、別にキャプテン・マーベルのイメージアルバムだとかいうわけでもありません。何の関係もないのにこんなタイトルつけるなんて、スタン・ゲッツってのは変わり者なのかしら。ジャズ・ジャイアンツに数えられたりするけれど、正統派のクール・ジャズをやっていたかと思うと、ボサノバをやってバカ売れしたり、このアルバムではエレピと競演してフュージョンまで取り入れてしまったりする変な人です(性格的には、かなりイヤな奴だったらしいという噂)。

 新し物好きなのか目立ちたがりなのか、こういうタイプの人はジャズ・ファンからは嫌われます。ジャズ・ファンは一途なタイプを愛しますからね。マイルス・デイビスみたいに変わり続けた人なんか一番に嫌われそうですが、あそこまで立派にやりきっちゃった人のことは「ジャズに対する姿勢が一途」とかなんとか屁理屈をつけるのです。ジャズ・ファンというのは、自由だの個性だのを喚き散らし、長髪ジーパンで、やたら反体制みたいなポーズを取りますが、実はガチガチの権威主義なのです。権威ある者への絶対的服従と、自己より弱い者に対する攻撃的性格の共生。各種ガイド本を読んでいれば、ハッキリとそれが分かります。しかし、私のような外道ファンは、いろいろやってくれるのを喜んで見守ります。私ゃ単なる無責任な野次馬ですから。

 さて、ゲッツといえばダンディ坂野、ではなくて『スタン・ゲッツ・プレイズ』『ゲッツ/ジルベルト』が最高傑作なんて言われていますが、私としてはクールなら『スタン・ゲッツ・クァルテッツ』、ボサノバなら『ジャズ・サンバ』、そして、このアルバムを三大傑作としてオススメします。このアルバムは、ゲッツのアルバムとしては異色作なのかも知れませんが、エレピの音色のおかげで随分と聞きやすくなっていますので、肩肘張らずに楽しめます。参加メンバーは、チック・コリア(キーボード)、スタンリー・クラーク(ベース)、トニー・ウイリアムス(ドラムス)、アイアート・モレイラ(パーカッション)。このメンバー、『リターン・トゥ・フォーエヴァー』とほとんど同じですね。なんでも、録音時期がほとんど同じ(RTFが2月で、これは3月)らしく、イメージがよく似ています。ジャズ・ジャイアンツなんて有難がって奉ったりせずに、軽い気持ちで聞いてみましょう。


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