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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

乙女の祈り ~CLASSIC IN BOSSANOVA

シンガース・スリー/池野成秋とプレイ8  1968年

シャバダバシャバダバ~♪

 シンガース・スリーは伊集加代子が中心になったコーラス・グループ。伊集加代子と言われてもピンと来ない人が多いかも知れませんが、名前は知らなくても、日本人なら間違いなく聞いたことのある声の持ち主です。ネスカフェ・ゴールドブレンドの♪ダバダ~の人です。11PMのシャバダバシャバダバも、旧ルパンのダッダバダッダバダ~も、新ルパンのルパン・ザ・サ~も、全部この人です。ハッキリ言って、我が国の♪シャバダ~のほとんどがこの人です。ちなみに、『アルプスの少女ハイジ』のオープニング・テーマ「おしえて」を歌ってるのも、この人です。なにしろ、スタジオコーラス・CMソングなど数千作品に参加した「スキャットの女王」なのですから、もう日本人のDNAに刷り込まれた声だといって過言はないでしょう。

 そんな伊集加代子が率いるシンガース・スリーが、ジャズ・ピアニスト池野成秋によってボサノバ化したクラシックの名曲をシャバダバと彩る名盤。これぞラウンジの極み、なんてイマ風、と思いきや発売は1968年!私ゃ、まだ生まれてませんよ。そんな時代ですから、ラウンジなんて言葉は使わず、上質のイージーリスニングと呼びたいですね。こんなオシャレで小粋な音楽が37年前に既に存在していたとは!それを21世紀になって聞けるとは!いやぁ、嬉しい復刻ですねぇ。ジャケットに使われてる書体がやたら古臭かったり、デザインがちょっと怖い気もするんですが、中身は素晴らしいので、すぐに買いましょう。

 収録曲は、ベートーヴェン「エリーゼのために」シューベルトの「子守歌」、「菩提樹」ショパンの「幻想即興曲」など全12曲。かの有名曲「乙女の祈り」も入っていますが、これを作曲した人って知りませんでした。ポーランドのテクラ・バダジェフスカって女性なんですってねぇ。ショパンもポーランド出身でしたね。そのショパンの「別れの曲」も収録されているのですが、アレンジがビックリです。ちなみに、このタイトルは日本でだけ通用するものです。なんでも、戦前にドイツでショパンの伝記映画が作られたとき、この曲をテーマに使ったとのことで、この映画のタイトル『別れの曲』に由来するそうです。曲の正式タイトルは「練習曲作品10第3番ホ長調」という愛想のないもの。まぁ、練習曲ですからね。ちょいと豆知識を披露してみました。で、「別れの曲」なんですが、これまで聞いた中では、『101回目のプロポーズ』サントラ盤の西村由紀江のピアノに限る!と思っていましたが、このアレンジには意表を衝かれましたね。こんなにポップな「別れの曲」なんて初めて聞きました。素晴らしい。ただもんじゃねぇな、池野成秋。『電送人間』の音楽を担当した池野成とは別人ですよ、念の為。それと、スキャットと言えば『宇宙戦艦ヤマト』も忘れられませんが、あれは川島和子が歌っているので、要注意。


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