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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

SWING BROTHERS

HARRY ALLEN NEW YORK SEXTET featuring SCOTT HAMILTON  2005年録音

スイング・ジャーナル・リーダーズ・リクエストったって選曲は普通

 ああ、寛ぎの一枚。というわけで、21世紀だというのにスイング派の二人(←褒めている)、ハリー・アレンとスコット・ハミルトンの、ぬるま湯……いや、温泉気分満点のアルバム。『ジャスト・ユー、ジャスト・ミー』『ヘヴィ・ジュース』に続く競演盤第3弾となった今回は『スイングジャーナル』の読者リクエストによる選曲です。ちなみに『スイングジャーナル』ってのはジャズの雑誌です。一般の人が「ちょっとジャズなんてものを聞いてみようかしら」という好奇心で手に取ったら痛い目を見る(読んでも全然楽しめないし何が書いてあるのかイマイチ分からない)ジャズ専門誌です。ジャズオタクしかウェルカムしませんので要注意。とか思ってたら、2010年、63年の歴史に終止符を打ちました。そりゃ、あれじゃあ、ねぇ……。もっと初心者向けの雑誌があればジャズのファン層も広がると思うのですが、いかがなものかしら。

 それはさておき、そんなオタク雑誌を読むような人たちのことですから、このコンビの特性にバッチリ合った選曲をしてくれてます。これまで以上に古臭……いや、懐かしめの仕上がりです。「フライング・ホーム」、「ダニー・ボーイ」、「シャイニー・ストッキングス」、「今宵の君は」、「ワン・オクロック・ジャンプ」……そんなに知識のない私でも知っている曲が並んでいるというのは、実際のところ、どうなんでしょうか。ジャズオタクって、本当に豊かな知識を持っているんでしょうか。オタクのわりには「こんな曲、知らないだろう」とか「この曲を演奏させてみたら面白いぞ」みたいな視点が欠けていると思うのですが、いかがでしょうか。でも、まぁ、やっぱり、このコンビには、こういう雰囲気を求めるんですな、誰でも。ジャケットデザインも素晴らしく(中身はジャケットの印象ほどハードではないです)、ジャズな気分を味わうには最適でしょう。

 「富士通コンコード・ジャズ・フェスティバル2005」への来日記念盤ということもあって、日本盤だけのボーナストラックとして「見上げてごらん夜の星を」が入っています。言うまでもなく、坂本九の1963年の大ヒット曲。作詞永六輔、作曲いずみたく。いずみたくといえば、「夜明けのスキャット」も名曲ですね。しかし、これが気に入らない。何が気に入らないって、こういう日本の曲を演奏したものこそ海外に紹介すべきであって、日本盤だけに収録などというケチくさいことをしておってはいかんではないか。「スイング感溢れた上質のジャズ(とは言っても広い範囲のジャズです)をお届けします。年に数枚のアルバムを心を込めて作り上げる、手作りのレーベルです」なんて大見得切ってるくせに、日本の素晴らしい楽曲を海外に紹介していこうという気概はないのかね。猛省を促す次第である。


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