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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

Satisfaction

INO hidefumi  2006年

限りなく美しい「スパルタカス愛のテーマ」

 私はよく「BGMに最適」って紹介するんですけど、これって褒め言葉になってないんでしょうか?なんかこう「聞き流していいよ、こんなもん」的に受け取られると、ちょっと違うんだけどなぁって思うのです。いや、もちろん聞き流しでいいんです。聞き流せない音楽っていうのは、なんらかの形で違和感というか不快なものが混じってるように感じられるから引っかかるんであって、スーッと聞き流せる音楽こそ、よくできたものだと思うのですよ。まぁ、少しくらい引っかかった方が面白いのかも知れませんし、そういう面白さを否定はしませんけどね。

 さて、このアルバムはフェンダーローズ・ピアノによる逸品。いいですね。いいですよ。まさにBGMに最適。フェンダーローズ特有の浮遊感というか60年代における未来感&宇宙感(レトロ・フューチャーってんですか?)が抜群の癒し。こういうの個人的にたまりませんね。でも、それだけじゃダルダルになってしまうので(それはそれでいいんだけども)ドラムがバッチリ締めてくれています。さすがはプロのお仕事です。

 特に「スパルタカス愛のテーマ」がたまりません。ご存知、スタンリー・キューブリック監督の映画(もっとも、キューブリックは、製作者にして主演の大物俳優カーク・ダグラスの専横から、「俺は、ただの雇われ監督だ」と言い張り、死ぬまで自分の作品とは認めなかったのですが)『スパルタカス』からの一曲です。作曲は「アンチェインド・メロディ」を作ったアレックス・ノース。

 この曲は、ユセフ・ラティーフの『イースタン・サウンズ』ビル・エバンス&ジェレミー・スタイグの『ホワッツ・ニュー』ラムゼイ・ルイスの『ジ・イン・クラウド』なんかでも聞けますし、このアルバムでもエレピとアコースティックの2バージョンが収録されていますが、このエレピ・バージョンこそが史上最高の演奏だと断言してよいでしょう。もう最高。でもまぁ、好みから言うとですね、もう少し安っぽく、と言って悪ければオモチャっぽく作ってくれたら更にマニアックで良かったのですけどねぇ。チープな感じがたまらなくイイ!ってこともあるんですがね。ただ、そうなると私みたいな変な人しか受け付けなくなってしまうので、さすがにファースト・フル・アルバムから冒険はしなかったようです。

 そんなお利口さんの名は猪野秀史。カフェを拠点に音楽発信するオシャレな人で、楽曲は全て打ち込みでミックスダウンまでの工程をひとりで制作しているそうです(ライブは生音らしいです)。オシャレか知らんけど、名前はちゃんと漢字で書いた方がいいんじゃないの?それとも、アンビエント・ミュージック(環境音楽)の先駆者、ブライアン・イーノ(Brian Eno)にひっかけてるのかな?