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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

STILL

COSINER & CAPITAL  2006年

音量を絞ってお聞きいただきたい

 音楽には大音量で聞きたいものと、そうでないものとがあります。例えば『地獄の黙示録』(もちろん「ワルキューレの騎行」のことを言ってるんですよ)だの『宇宙戦艦ヤマト』だの『ゴジラ』だの、ああいう勇壮雄大なオーケストラの曲ってのは、どでかい音に溺れるように聞きたいもんです。もちろん、そんなことが許される環境にあれば、ということですが、ウサギ小屋に住む日本人には無理なんでしょうかね(涙)。

 しかし、一方で、でかい音じゃ興醒めってのもあって、それがいわゆるアンビエントとかチルアウトとかいうジャンル名で呼ばれる音楽でありますな。こういうのは微かに聞こえる程度に流しておくと抜群の効果を発揮するのであります。いや、別に大音量で聞けない僻みや負け惜しみじゃないですよ。

 さて、このアルバムは、そんな小音量名盤のひとつ。カリフォルニア州のベイエリア、オークランドを拠点にするプロデューサーでビートメイカー(ヒップホップシーンにおける作曲家のことだそうです)のコサイナーと、ギタリストで詩人のキャピタルによるコラボレーション・ユニットの3rdアルバムです。一聴するとギターが主役のような気がしますが、実は主役はコサイナーなのであります。この人、日系アメリカ人なんですって。ちなみにザケンナーはプリキュアの敵。ウザイナーはプリキュアSPLASH STARの敵。まぁ、そんなことはドーデモいいんですが、実になんというか澄み切った感じが、清流のような心地よさを運んでくれます。ビートメイカーなんて人が作ったのに、ヒップホップな感じは、あんまりしないです。どちらかというと、チルアウトに括られるようですね。

 チルアウトというのは、90年代前中期に電子音楽の作曲者が生み出した、比較的陽気でスローテンポなさまざまな形式の音楽のことです。また、ジャンル名であると同時に、ダンスフロアにいる客たちにダンスで火照った体を休め、落ち着かせる機会を与えるためダンスフロアの端にしつらえた冷たい(Chill)部屋で流される音楽からも来ているそうです。その部屋には寝椅子とか気持ちのよい枕とかがあって、陶酔に誘うためにサイケな照明と音楽で演出されているそうで、その音楽が、数歩先にあるダンスフロアの音楽と比べると明らかにダウンテンポなものなのだそうです。そんなところに行ったことも近付いたこともないので、実際のところはよく分からないんですが。まぁ、貴船の川床料理、よろしおすな~って感じですかね。これまた食ったことないんですけど。とにかくマイナスイオン10%増量です。あんまりキャッチーな要素はないけれど、何回も何回も聞くことによって味が出てくるスルメ盤。夜のお供にドーゾ。


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