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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

THE FANTASTIC VOYAGE OF GOBLIN : THE SWEET SOUND OF HELL

GOBLIN  2007年

これまた決して、ひとりでは聞かないでください

 私はホラー映画って奴をあんまり見ない。いろんな不思議現象が起きて血がドバーッと出て「青いアイリスの花を回すのよ!」とか言われて、いろいろ考えさせられて、でもオチは悪魔の仕業でしたーだったら「金と時間を返せ!」と言いたくなる。悪魔やら魔女とかなら何でもアリやないか!もっと、ちゃんとしたオチを持って来い!と怒ってしまうのである。映像的こけおどしだけでは楽しめない体質なのだ。て言うか、痛いのとか怖いのとかは嫌い!(←ヘタレか)というわけで、本来なら、こういうアルバムとも接点なんかないはずなのだが、プログレ経由でゴブリンに行き着き、『ローラー』というアルバムが気に入っちゃった私は、ついベスト盤にも手を出しちゃったのであります。ゴブリンはホラー映画のサントラ仕事が多かったので、ベスト盤は必然的にホラー映画全集にもなる次第。

 で、このアルバムには、『サスペリア2』『サスペリア』『ゾンビ』『パトリック』『アンチ・ギャングスターズ』『エイリアンドローム』『シャドー』『フェノミナ』『デモンズ3』『ビヨンド・ザ・ダークネス/嗜肉の愛』の曲が入っている。でも、映画の有名タイトルテーマは『サスペリア2』、『サスペリア』だけというのが、ベスト盤編集のエケチット。『シャドー』や『フェノミナ』のタイトルテーマはカッコイイらしいのだけれど、ホラー映画ファンじゃなくて、それらの映画も見ていない(この中で見たことあるのは『サスペリア2』、『サスペリア』だけ。『ゾンビ』すら見ていないのは、我ながらどうかと思う)私にはドーデモイイ話。ちなみに『サスペリア』のテーマを辻陽がパクって『TRICK』のタイトルテーマ「mystic antique」を書いたのは周知の事実。更に言うと、ドラマ版『金田一少年の事件簿』の謎解きシーンに流れる「the mysterious mallets」は、『エクソシスト』のテーマである「Tubular Bells」(これはゴブリンと関係ないです、念のため)を見岳章がパクったもの。どっちも堤幸彦監督の指示だったのかしら。あの頃の堤演出はカッコよかったなぁ。今は、もうどうしようもない感じやけど。

 それはさておき、いきなり曲ではなくマッド・パペットの気色悪い笑い声から始まって、どう聞いても『風の谷のナウシカ』「ラン、ランララ、ランランラン♪」の元ネタとしか思えない子守歌(ご丁寧にオルゴールver.)なんかも流れる寒々しくて怖くて美しい雰囲気は実にカッコいい。さすがホラーなアルバム。そうかと思うと、サントラじゃない『ローラー』、『マークの幻想の旅』からも選曲されているし、『アンチ・ギャングスターズ』(刑事コメディらしい)からの一曲「シシリアン・サンバ」なんて爽やかすぎるフュージョンも入っていたりして、ホラー色一辺倒にしなかった編集者の目配りが素晴らしい。『アンチ・ギャングスターズ』はゴブリンの異色作だって言うから、出来ればもう一曲くらい選んでほしかったけれど、ベスト盤としては上出来の部類ではないかしら。

 ゴブリンのベスト盤には、『惨劇の調書 THE FANTASTIC JOURNEY IN THE BEST OF GOBLIN VOL.1』というアルバム(こちらもFANTASTICなのか)もあって、これは日本盤も出ている。1枚目はサントラ、2枚目はライヴの2枚組で、実は、どっちを買おうか迷ったんだけれど、サントラは映画4作品だけで収録作品数が少ないので、あんまりお得感がせず、更に2枚組ってのが嫌いで、ライヴ盤も好きじゃないという好み(いろいろうるさいなぁ)の問題もあって、こっちを選んだ。「代表曲が入ってなくてB面ベスト的」なんて評も見かけたけど、多分こっちを買って正解だったと思う。いやマジで。


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