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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

オシャレ30・30

阿川泰子  1989年

あなたにとって、オシャレとは?

 ジャズ・ボーカルというのは癖の強いのが多くて、普通の人(私のことね)には実に聞きにくい。ところが、この阿川泰子のアルバムは異様に聞きやすいのである。阿川は元女優(といっても、ウルトラマンレオとか特撮物に出てたことくらいしか知らんが)だけあって美人だし、歌声も「シュガー・ボイス」と言われる耳に心地よいものだったので、「コピーは三田」の三田工業のCMやら何やらで一気にメジャーになりました。ジャズ・ボーカリストが、こんなにメジャーになるなんて、後にも先にも、ちょっと思いつかない。それがいいのか悪いのかは知らないけれど、この2枚組アルバムでも、おなじみのスタンダード曲を文字どおりオシャレに歌っています。

 これは日曜の夜にやってたトーク番組『オシャレ30・30』で、トークの後に阿川が歌った曲を収録(とか言いながら、明らかにテレビ用とは別に録音していると思われるが)しているアルバムで、前田憲男作曲、高橋達也&東京ユニオン演奏、コーラスは伊集加代子グループという超豪華版のテーマ曲もバッチリ収録。一緒に司会をしていた古舘伊知郎とデュエットした「Everybody Loves Somebody」はドーデモいいけれど、「My Foolish Heart」なんて、後にビル・エバンスの『ワルツ・フォー・デビイ』を聞いたときに、アレンジは阿川版の方がええやないかとか思ってたほどにオシャレ。やっぱりテレビで流すには、このくらい聞きやすくアレンジされてないとキツイですね。スタンダードがずらりと並んでいるので、軽くジャズを聞きたいわなんて人にはピッタリだし、それだけじゃなくて、自身のブラジリアン・ポップスのアルバム『OURO do MANAUS』から持ってきた「Keep This Heart (ACAI)」や「When He Finds Out (MEU BEM MEU MAL)」も忘れ難い名曲。好評だったのか、第2弾も出ていました。「ジャズとしてのコクがない」なんて否定論もあるだろうけれど、これはこれで良いアルバムだと思います。

 『オシャレ30・30』のトーク部分は、別に大したことはなくて、面白かったのは、阿川が石川さゆりと揉めたことくらいかしら。アルバムをプロデュースした喜多嶋修の話題になった時、阿川が「喜多嶋舞さんのお父様ね」(「内藤洋子さんのご主人ですね」だったかも知れん)と言った途端、「私、そういう言い方は嫌いですっ!」と突然顔を真っ赤にして大激怒。視聴者に分かりやすいように言っただけという阿川と、個人を誰かの附属物みたいに言うなんてと怒る石川の間に挟まった古館が「どっちの気持ちも分かるなぁ」とかなんとか半笑いで必死にフォローしていたのを覚えている。こんな程度のことで番組収録が止まるかね、と思ったが、実は石川と喜多嶋がW不倫してただけの話だったらしい。石川さゆりって頭おかしい女なんや、と思いましたな。さすが天城越えなんてエロ歌を歌っただけのことはある。まぁ、そんなトーク部分よりも、当時でも珍しい生CM(鈴木“コルゲン”宏昌がピアノを弾きながら共演)の方が印象深い。わざとらしく資生堂の化粧品を紹介する阿川は、さすが元女優なんてオーラを奥ゆかしいほどに消しまくり、見事なたどたどしさを発揮。コルゲンさんの素人丸出しのわざとらしい芝居と相まって、見てるこっちがハラハラする感じが素晴らしかった。こういう洒落た番組は少なくなったなぁ。『オシャレ30・30』も、後に『おしゃれカンケイ』、『おしゃれイズム』へと変わっていって、普通のトーク・バラエティになっちゃったし、あの『今夜は最高!』みたいに、音楽と上手に絡む番組を、また見たいものです。



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