ジャズ・ギターのアルバムと言うと、どうしても地味で暗いというイメージがあって、よろしくない。永遠の不良楽器エレキなら良いんだけれど、アコギって奴をボンボロボンボロ弾かれてもね、陰に籠るからね、ギターの音色ってのは。情感たっぷりに弾かれでもした日にゃ、目も当てられない。まぁ、ベースのアルバムよりはマシだけど。ジャズ・ベースのアルバムはね、ホントに酷いもんですよ。リロイ・ヴィネガーの『リロイ・ウォークス!』を唯一の例外として、まぁ聞けたもんじゃない。
で、このサル・サルヴァドールである。ガイドブックに頻繁に出てくる名前ではない。出てきても、『サル・サルヴァドールの真髄』(今は『フリヴァラス・サル』ってタイトルで出てるそうです)というアルバムだけ。ギターを弾く指先だけ映したジャケットがオシャレとか言われてる奴(こんな程度でオシャレなんて、どういうセンスなの?)。演奏はそんなに悪くないけれど、ぶっちゃけ、この『シェイズ・オブ・サル・サルヴァドール』の方が上だ。ジャケットは、『サル・サルヴァドールの真髄』より遥かに劣るけれど。
『サル・サルヴァドールの真髄』は、ピアノ時々ヴァイブ(エディ・コスタ)、ベース、ドラムとのカルテットだったけれど、こちらはトロンボーンやらアルト・サックス(フィル・ウッズ)なんかも入った豪華版。これくらい多彩な音色でやってくれりゃあ、文句は言いませんよ。演奏もノリノリで、あんまりギターのアルバムらしくない(褒めてます)けれど、楽しいアルバムだ。