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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

THE RAT RACE BLUES

GIGI GRYCE  1960年録音

どこに惹かれたか説明できない

 ある程度ジャズを聴いてくると、自分の好みの演奏というものは分かってしまう。メンバーの名前とか、楽器編成とか、録音年とかを見れば、大体どんな演奏か分かっちゃうので、それらを頼りにガイド本を見たりするのだが、ガイド本に載っているようなのは既に聞いちゃってる。て言うか、そもそも同じアルバムしか紹介してないな、というのは何冊か読めば分かってしまう。ジャズ評論家というのが、いかに楽な商売をしているか、ということである。まぁ、ガイド本というのは、たいていの場合、初心者向けということなので、ある程度は仕方ないが、じゃあ、中級ファン向けガイドがないのは、どういうわけか。これは、関係者に真面目に考えてほしい問題である。

 それはさておき、一般のガイド本を頼れなくなると、どうしてもマイナーなアルバムを対象にせざるを得なくなる。そこで役に立つのは、スイングジャーナルが出した『幻の名盤読本』くらいである。幻というだけあって、見たことも聞いたこともないアルバムがたくさん載っているが、CDになっていないものも多いし、そもそも「幻」っていうだけで、良いアルバムかどうかの保証はない。したがって、自分にとっての「当たり」に巡り会える確率は極めて低くなるのだが、このアルバムは、「当たり」だった。

 まず、ジャケットがよろしい。いかにもジャズという雰囲気のデザイン。そして、主役のジジ・グライス。アルト・サックスの人。名前を見たことは、ある。アート・ファーマーの『ホエン・ファーマー・メット・グライス』ってアルバム。オッサン二人が握手してるジャケットの奴。これ以外で見た記憶がない。トランペットのリチャード・ウィリアムスも、ピアノのリチャード・ワイアンズも、ベースのジュリアン・ユーエルも、ドラムのグランヴィル・ローカーも、一度も聞いたことのない人たちだ。したがって、安心材料は何一つ、ない。しかし、そんなことは、どうでもよろしい。聞いてみれば、今まで聞いてきた好みの音楽を、ほんの少しひねったような、でも、やっぱりジャズだよねーとしかいいようのない心地よい曲が流れてくる。こういう出会いが、ごく、ごく、たまーにあるから、やめられないのだな。

  



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