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ダイキチデラックス

水滸伝

横山光輝  1967~1972年


百八の魔星の生まれ変わり、梁山泊に集結!

 今川泰宏監督によるオリジナル・ビデオ・アニメ『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』は、久々に登場した実に面白いアニメでした。全7巻レンタルして損はないですよ。声優陣もやたらと豪華で素晴らしかった。あれに大挙登場していたのが、横山光輝のキャラクター達なのです。バビル2世、仮面の忍者赤影、鉄人28号、魔法使いサリー……今川監督が、手塚治虫のスターシステムを援用したんですね。横山光輝は言わずと知れた日本漫画界の巨匠で、いまだにファンは多く、鉄人28号の像が作られたり、コンビニで横山ロボの玩具の入ったお菓子を売っていたりしています。この玩具が異様に出来が良くて、300円の品物とは思えませんね。横山キャラは、あの独特のラインが時代を超えて愛される所以なんですね。おもちゃにしたときのしっくり感ってのは比類のないものです。さて、『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』に登場した神行太保・戴宗、鉄牛(黒旋風の李逵)や智多星の呉用、公孫勝・一清道人や青面獣の揚志(何故か女に変わってたけど)などは、この『水滸伝』のキャラクターなのです。

 御存知、明代(1368年~1644年)の中国で書かれた伝奇歴史小説の大作、「中国四大奇書」(あとの三つは『三国志演義』、『西遊記』、『金瓶梅』)の一つです。古典と聞いて「辛気臭そうやなぁ」と思ったあなた、その先入観は大間違い。時代は北宋末期、汚職官吏や不正がはびこる世の中。様々な事情で世間からはじき出された好漢たちが、大小の戦いを経て梁山泊と呼ばれる自然の要塞に集結する。彼らはやがて「悪徳官吏を打倒し国を救う」ことを目指すようになる……。波乱万丈のストーリーに魅力あふれるキャラクターを、めちゃめちゃ読みやすい絵で一気に読み通させるあたり、さすが古き良き時代のマンガの力強さを感じます。

 もともと創価学会系の雑誌に連載されていたのですが、思想的にどうこうと言ったものではありませんし、ややこしいことに巻き込まれることもありません。私は幼少のみぎりに散髪屋で読んだのです。シャワーなんてしゃれたものなかったですから、髪を洗うときは湯沸かし器の下に移動して洗ってもらうような小さな床屋でしたが、この漫画は何故か全巻(と言っても8冊ですが)揃っていて、読み始めたら面白いのなんのって、順番飛ばされてもいいから、とにかく読むのを妨げないでくれっていう勢いで読んでいました。しかも、全部読み終えても、次に散髪に行ったら、また読んでしまうという麻薬的な面白さ。以来、この面白さが忘れられず、十数年経った最近、古本屋で買ってしまいました。お好きな方は『三国志』も、と言いたいところですが、コミックス60巻の大長編なので御用心を。


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