ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

仮面ライダーSPIRITS

[原作]石ノ森章太郎 [漫画]村枝賢一  2000年~


時代が望む時、仮面ライダーは必ずよみがえる

 ドラマチックに盛り上がる漫画も見当たらんし、不条理ギャグには飽きたし、最近すっかり漫画などというものを読まなくなってしまった。パソコンのせいで目が弱っているということもあるし、そもそも、ええ加減オッサンなので、漫画雑誌に手を伸ばすことがない(かと言ってエロトピアとかを読むほどオヤジでもない)ということもあるのだが、どうも感性が時代についていけなくなっているのだ。

 と、思っていたら、こんなオタクなオッサンの血をたぎらせる作品が新たに生まれているではないか!仮面ライダーSPIRITS!The Legend of Masked Riders!なんと21世紀の現代も、仮面ライダーたちは世界のあちこちで活躍を続けていたのである!物語は、FBI捜査官、滝和也の視点で語られる。ショッカー、ゲルショッカーを殲滅したものの、「仮面ライダー」の存在を誰にも信じてもらえず、閑職に回されていた滝は、新たな悪の胎動を察知、単身捜査を開始する。圧倒的な悪の前に力尽きようとしたとき、伝説のヒーローが帰ってきた!……という導入部からぐいぐい引き込まれること必至の激熱漫画。この後、滝は世界各地で戦いを続けていた歴代ライダーと遭遇し、新たな敵に立ち向かっていくことになる。

 この物語は、雑誌展開はされたものの、テレビではスペシャルを1回放送しただけの『仮面ライダーZX』を新たに語り直したものなので、DVDを見てから読むと一層楽しめる。そもそもZXなんてマニアックな題材を、歴代ライダーの細かい設定を反映して描いた作品に、ついてこれる読者がいるのだろうかという心配もあるけれど、そういう人向けに提供されているのだから、無問題。テレビシリーズを知っていれば知っているほど楽しめるマニア向けの逸品なのです。コミカライズの理想のひとつが、ここにある。それに、細かいことは知らなくても、そこで繰り広げられる熱い物語を読んで感動しない奴はいないはず。私は第2話「たった一人の戦場」を偶然書店で立ち読みして号泣しましたよ。特に、内戦で醜く争う人間達の姿を見せ付けられ、何も信じられなくなっている人に語りかける滝の台詞「なぁ、信じてみねえか。たとえ神も仏もいなかったとしても、仮面ライダーはいる……ってな」……、そして、傷付きながら、たった一人で悪の軍団に立ち向かうロンリー仮面ライダー!これは涙腺を直撃です。申し訳ないけれど、平成ライダーから見始めた人には全然面白くないかも知れない。ごく限られたオッサン層にだけアピールする作品かも知れない。しかし、月刊誌の発売が待ち遠しいなんて何年ぶりの感覚でありましょうか。ああ早く次号が読みたい!


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