ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

ダァティ・ジョォク

モンキーパンチ  1987年


モンキーパンチの隠れた傑作(「1」って書いてあるけど、これしか出てないよ)

 『ルパン三世』は最早国民的アニメと言ってもいいと思うけれど、原作を読んだことある人って意外と少ないんじゃないだろうか。読んでみたらアニメのどのシリーズとも似ていない雰囲気にビックリしますよ。ぶっちゃけ、そんなに面白くないです。と言うか分かりにくいんですね。それでも初期の頃はストーリーらしきものがあったけれど、後期になると、そんなもんお構いなしに展開する意味不明な漫画になっちゃって、アニメから、しかも2ndシリーズとか『カリオストロの城』とかから入った一般的な人にはウェルカムしてくれないわけです。

 『ルパン三世』でさえ、そんな状況ですから、モンキー・パンチの他の作品なんて、見たこともないって人がほとんどでしょう。ルパン以外に作品があるのかなんて失礼なことを考えている人もいるのではないかしら。作品がないどころか、かなり年取った現在でも、コンピュータを駆使して漫画を描くなど現役バリバリですよ。せっかく元気爆発なので、カリオストロかぶれのスタッフに邪魔されて中途半端に終わってしまった『DEAD OR ALIVE』の雪辱戦として、是非もう一度劇場版の監督を務めてほしいものです。

 で、この作品は、ルパンと同じく青年向け劇画ですが、ターゲットの年齢層が心持ち低いのかもしれず、絵もキレイで、ストーリーも分かりやすくて読みやすく、モンキー・パンチ入門には絶好の傑作です。モンキー・パンチ独特の絵柄、レイアウト、キャラクターの取るポーズなんかを味わうには最適の作品で、古本屋を廻りまくってでも探す値打ちのある本。なんだかネットでは3000円超なんてトンデモナイ値段がついていますけどね。私ゃ普通に町の本屋で買いましたよ、定価490円。本棚の片隅に置いてありましたからね。ちなみに、表紙には1巻って書いてありますが、残念ながら2巻以降は存在しません。マジシャンの魔示Q(マジック……そのまんまやんけ)と仲間のエンター・ジャック、KO子が裏社会で活躍するアクション?コメディー?なんて言うか分類しにくい内容で……まぁ、やっていることはルパンと大して変わりませんが、テレビ版で言えば明るく親しみやすい2ndルパンとスラップスティックなPart3ルパンを足して2で割ったって感じと言えば一番分かりやすいですかな。

 更に、これを読んでいると、アニメのルパンのほとんどのシリーズに関わり、Part3ではキャラクターデザインと総作画監修を担当した青木悠三というアニメーターの偉大さってものが分かっちゃったりします。アニメにおけるルパンのイメージを決定付けた大塚康生が立派なのはモチロンですけど、モンキー・パンチの絵柄を見事にアニメに移し変えたという点において、青木はもっと評価してもいいんじゃないかなぁ(さすがの私もPart3後期は評価しませんが)。ちょいとマニアックなことを申しましたかしら。絵を描く人になら分かってもらえると思うんやけどなぁ。


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