ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

パタリロ!

魔夜峰央  1978年~


さあ皆さん、お手を拝借!パパンがパン!だれが殺したクックロビン♪

 バミューダ・トライアングルの真ん中に存在する常春の島国マリネラ王国を舞台に、その国王パタリロ・ド・マリネール8世が、側近のタマネギ部隊や、イギリスの諜報機関MI6のバンコラン少佐、その愛人マライヒ等を巻きこんで起こす騒動を描く……。

 何を今更、と言った感じの漫画なのですが、元はといえば新婚旅行なのであります。こんな私でも、なんとか結婚できたわけでありまして、結婚したからには、新婚旅行なるものに行くわけであります(結婚式や披露宴などという恥ずかしいことはしなかったのでありますが)。こんなときしか遠くへは行けないということで、旅先にはスペイン、ポルトガルを選び、長い長い飛行機の時間を潰すために何か軽く漫画でも持っていこうと思ったのであります。で、たまたま選んだのが『パタリロ!』だったのであります。直前に有栖川有栖の『迷宮逍遥』を読んで、ミステリー編ばかりを集めた文庫(選集29『パタリロ・ミステリーの巻』)があると知ったので、それを買い求めたのであります。『パタリロ!』といえば、20年以上も連載中の古典、コミックスも70冊を数えようという物量で、選集と称して発売中の文庫版ですら40巻もあるという化け物漫画。もっとも、内容はホモでスパイでギャグでミステリーでオカルトで、私の嗜好に100%マッチするものではなく(特にホモの部分)、アニメ版も熱心に見ていたわけではない(あれは演出のテンポが悪かったですな)ので、とりたてて愛着があるというわけでもなかったのですが、ミステリー編なら楽しめるだろうと思ったのであります。で、楽しかったんですよ。そんじょそこらの推理小説の新刊を読んでいる暇があったら、こっちを読んだ方がいいですよ。実に良質のミステリーです。めでたしめでたし。

 ……と、それだけで済まなかったのだ。なんと、うちの嫁さんがハマってしまったのであります。いつの間に買ったのか、気がつけば箪笥の上に文庫が20冊くらい並んでいて、おまけにビデオまで借りてくる有様。確かに1冊読むと次々と手を出したくなる習慣性の高い書物ではあるのです。私も寝る前に必ず読むようになってしまいました。まだ買い続けてしまうのだろうか……あぁ恐ろしい。

 しかし、なんですな、20年も経つとキャラはすっかり変わっちゃってますな。パタリロなんて下膨れどころか顎なしばあやになっちゃってるし、タマネギ部隊の口は際限なく大きくなってるし、バンコランやマライヒの顔からは妖しさなんてものは欠片も感じられない。絵も白くなっちゃってて、ストーリーも昔ほど練りこまれているようには思われず、「スターダスト」とか「霧のロンドンエアポート」とかが好きな私としては、少し寂しい気がいたします。


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