ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

×一(バツイチ)愛を探して

国友やすゆき  2003年〜


しがないオヤジたちのための大人のメルヘン

 週刊ポスト連載作品なのである。週刊ポストは「政治、経済から事件、風俗まで〜日本と世界の今を読むNo.1総合週刊誌!」なのだそうである。であるからして、田原総一朗が政治家に斬り込んでいる隣で、叶恭子が「ここまで話していいかしら、私のセックス」なんてことをくっちゃべったりしているのである。私ゃ週刊誌なんて買わないのだが、世のお父さん達は、こういうのを読んでいろんな教養を身につけたり暇潰したりしているのであろう。

 で、総合週刊誌だからして日本人の教養の象徴であるマンガも連載されていて、なんと『新・子連れ狼』なんていう渋いマンガの隣に、この『×一(バツイチ)』が載っているわけである。初恋の人とたった一度、一夜を共にしたために妻と離婚するはめになった洋介(機械部品メーカー勤務。37歳。子供なし)が、若い部下の女性だの取引先のキャリアウーマンだの元妻の同級生だのとヤリまくる「バツイチ男の新たな巡り合いドラマ」なのである。

 「愛を探して」なんつって気取ってみても、要はオヤジ向けのエロマンガです。エロマンガといっても脂ギトギトのエロ劇画でもなく、ロリコン御用達のSF調(変なコスチュームの少女が化け物の触手で苛められている系)でもなく、初期『くりいむレモン』(懐かしい!)系とでも申しましょうか、極めてソフトタッチな画調。ストーリーも、毎回毎回ただヤルだけというわけでもなく、それなりに物語が出来ていて、電車の中で読んでいても、そんなに恥ずかしくないと思われます。昔『みんなあげちゃう』を愛読していたようなモテないオヤジ達が会社でセクハラしないように、ガス抜きするにはちょうどいいという感じです。

 しかし、部下だのなんだのが相手役に設定されるのはともかくとして、上司の陰謀で戦火の中東へ飛ばされ、そこで知り合ったゲリラのおねえちゃんまで相手にするというのは、あまりと言えばあんまりな展開。「おいおい」と突っ込みながら半笑いで読むのが正しい姿勢でしょうか。まぁ、そのへんの馬鹿馬鹿しさも含めて、知能指数がそんなに高くないオヤジのハートと股間をガッチリつかむんでしょうね。


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