ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

明和電機 ナンセンス=マシーンズ

2004年


全く役に立たない機械たちのカタログ

 まずは書影を見ていただきたいんですが、でっかく写っている魚の骨みたいなのありますね。これ何だと思います?新聞に大きな広告が出たこともあったから御存知の方もいらっしゃるでしょう。これは魚の骨の形をした延長コードなのです。名前は「魚コード」と書いて「ナコード」と読むのです。これを作ったのが明和電機なのです。

 明和電機を電器屋さんだと思った人。それ、間違いです。電器屋じゃないけど普通の会社だと思った人。それも、間違いです。ここんとこの文章は唐沢寿明の声で読んでほしいんだけれど、そのうち意味不明になるな。EO光のCMのパクリです。こういう時事ネタは、すぐ分からなくなるからイヤね。と、それはさておき、普通の人が明和電機に触れる機会っていえば、さっきの魚コードやノックマン(ひたすら自分の頭を叩き続けるマゾヒスティックなおもちゃ)とかサバオ(13週目の胎児というキモカワキャラ)のストラップとかのグッズを雑貨屋で目にするくらいですから、そういうものを作っている会社かなと誤解されても仕方がない。実は明和電機っていうのはアート・ユニットなのです。前述のグッズ制作や、奇想天外な、と言うより実際にはクソの役にも立たない機械(ナンセンス=マシーン)によるパフォーマンス、音楽活動(CDパリ公演のDVDも出ています)などもやっている総合芸術ユニットなのであります。2000年には、グッドデザイン賞を「人間として」初めて受賞しています(新領域デザイン部門)。社訓は「やったもんがち、とったもんがち」、活動方針は「やりにげ」。実に素晴らしいポリシーではありませんか。

 で、この本は、2004年に東京はNTTインターコミュニケーション・センターで開催された「明和電機 ナンセンス=マシーンズ」展のカタログで、定番の「魚器(ナキと読む)」シリーズをはじめ、ツクバ・シリーズ、エーデルワイス・シリーズなど、これまでに制作されたナンセンスな機械など全製品を網羅した、いわば活動の集大成。ファンならずとも必携のカタログです。一度目は製品のナンセンスさ加減に呆れて読み、二度目は製品のデザインの美しさに酔って読みましょう。

 私は魚コードもさることながら、明和電機の使うロゴって言うかフォント(本のタイトルにも使っていますね)、これにイカレてしまいました。なんてレトロ・フューチャーで科学な感じでカッコイイんでしょう!こういうロゴを作る人達のセンスなら間違いはありません。さぁ一家に一冊、センスを磨こう!


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