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ダイキチデラックス

ガメラ2 レギオン襲来

[監督]金子修介 [出演]水野美紀、永島敏行、藤谷文子 1996年


火力をレギオンの頭部に集中し、ガメラを援護せよ!

 北海道周辺に流星雨が降り注ぎ、その内の一つが支笏湖の南西約1キロ、恵庭岳近くに落下した。直ちに陸上自衛隊が出動、永島敏行二等陸佐や石橋保一等陸尉たちが調査に派遣されるが、巨大なクレーターが発見されたのみで、隕石自体は影も形も見つからなかった。偶然永島達と出会った札幌市青少年科学館の学芸員、水野美紀は、隕石が自力で移動した可能性を示唆する。それを裏付けるように、近郊ではビール工場のガラス瓶やNTTの光ファイバー網が消失するという怪現象が多発し、発生地点は札幌市に向かって少しずつ移動していた。そして、隕石落下から5日目、札幌市営地下鉄構内に虫のように群れをなした異生物が出現し、地下鉄の乗客が襲われ、ビル街には巨大な植物体が現われた。現場には高濃度酸素が充満し、札幌壊滅の可能性が出ていた。その時、三陸沖からガメラが突然浮上、札幌に飛来する。

 ガメラ誕生30周年記念作『ガメラ 大怪獣空中決戦』『宇宙怪獣ガメラ』以来15年ぶりによみがえった平成ガメラの第2作にして、平成シリーズ中最高傑作です。『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、あのクソ面白くもない平成ゴジラシリーズに比べて恐ろしく安い予算だったらしいですが、特技監督を務めた樋口真嗣の人間の目線にこだわった特撮、ミニチュア、オープンセットが見事すぎ、特にギャオスが倒壊した東京タワーの上で羽を休めているシーンは、日本映画史上屈指の美しさ。ガメラの知名度のせいか興行収入もあまりよろしくなかったらしいけれど、かつての特撮少年達のハートをガッチリつかみました。そして、本作では、戦争映画と言ってもいいほどのバトルが展開されます。敵は宇宙怪獣。しかも、生態系ごと移動してくるという、かつてない種類と規模の敵です。その描写も前代未聞で、特に小型レギオンは地下鉄構内で大量発生、思い切り人間を惨殺しまくって、飛び散る血しぶきもただごとではありません。また、うじゃうじゃとガメラにたかるところでは、似たようなシチュエーションの『ゴジラvsデストロイア』とは雲泥の差の気持ち悪さと迫力を見せます。また、雪の中での白い息を吐きながらの戦いや、大空から飛来し、着地後、勢いが止まらず横滑りしながらのプラズマ火球3連発、最後の最後に元気玉(「かめ」はめ波じゃなかったのね)など、驚くべきビジュアルが満載。そして、今回は何と言っても自衛隊が第二の主役。ガメラを当てにせず(むしろ怪獣だということでレギオン同様敵とみなし)徹底して自力で防衛戦を展開。しかし、最終的にはガメラを味方と認識して共同戦線を張り(このときの辻萬長演じる師団長のセリフ「火力をレギオンの頭部に集中し、ガメラを援護せよ!」に震えなきゃ男ではない)、戦い終わって去っていくガメラに敬礼する隊員達(全員ではないところがリアル)と見せ場がいっぱい。男の子なら血沸き肉躍ること間違いなしです。

 パート2は1作目を越えられないという映画界のジンクスをいとも簡単にぶち破り、日本SF大賞を映画作品として初めて受賞。続く完結編『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』では、ハイパーギャオスを殲滅するために人間もついでに虐殺、我が故郷、京都では歴史ある木造建築を灰燼と化し、完成したばかりの京都駅ビルを崩壊させるなど一層凶悪なバトルを繰り広げますが、お話がちょっとややこしいのと山咲千里が意味不明だったのと怪獣デザインがカッコ悪かったのとで、ちょっと残念でした(それに前田愛より妹の亜季の方が絶対可愛い)。しかし、このシリーズは通して見なきゃいけません。これを見ずに怪獣映画は語れないぜ!


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