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ダイキチデラックス

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明 武状元黄飛鴻

[監督]ツイ・ハーク [出演]リー・リンチェイ、ロザムンド・クァン  1991年


ジェット・リーではなくてリー・リンチェイですっ!

 清朝末期。欧米列強は中国全土侵略を開始していた。武道師範として友人の黒旗兵の統率者リュウと式典に参加していた黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)ことリー・リンチェイは、伝統の獅子舞に発砲してきた欧米の船の銃弾の中をかいくぐり、無事に獅子を舞いおさめさせて御満悦。政敵に追われベトナムに左遷されるリュウは無念の思いを「不平等条約」と墨書された扇子とともに飛鴻に託し、武道師範として自警団を組織し、欧米はじめ混乱に乗ずる不逞の輩を懲らしめてくれと頼む。飛鴻は警察長官の同席の元、英米の代表と「こないだの式典で怪我したやんけ、どないしてくれるねん」と責任問題を追及していたが、もともと政敵だったリュウと親交していた飛鴻を快く思っていなかった長官から自警団と共に謹慎を言い渡され、更に英米の代表と敵対するきっかけを作ってしまう。一方、地元のヤクザは、ゴールドラッシュにかこつけて中国人をだまして作業員の強制徴用を行っていたアメリカ代表と売春婦摘発を条件に裏取引を交わし、飛鴻暗殺をもくろむ……。

 これぞリー・リンチェイの代表作。最近は違う人がシリーズを引き継いでいるけれど、そんなもの見なくてもよろしい。リー・リンチェイの見事な武術と、ラブコメ担当ロザムンド・クァンの美貌に酔いしれましょう。この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』という某映画タイトルのもろパクリ・シリーズは、中国全国武術大会5回連続総合優勝の「中国武術界の至宝」リー・リンチェイが、清朝末期に活躍した武術家兼医師で、南派少林洪家拳の達人、中国近代史上最大の英雄、黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)を演じるのです。ジャッキー・チェンも『ドランクモンキー 酔拳』『酔拳2』で演じていましたが、ちょっと違うんですよね。あれはあくまでジャッキー・チェンであって黄飛鴻ではない。じゃあ、リー・リンチェイが完璧かと言われてもそんなことは分からないけれど、リー・リンチェイが醸し出す堅物のイメージ、美しい弁髪、外連味たっぷりに裾をバッバッ!と払う動きが素晴らしい。それにアクションもリー・リンチェイの方が、お笑い要素が入っていないうえにキレも良く、ワイヤーを使いまくって炸裂させる必殺技、無影脚の美しいこと!

 日本での公開は何故か第2弾『天地大乱』が最初で、ビデオにも「シリーズ第一作」なんて書いてありますが、どれから見ても特に支障はありませんが、ホントの第1弾『天地黎明』にだけユン・ピョウが出ているのをお見逃しなく。第3弾『天地争覇』以来久しぶりに復活した最新作『天地風雲』では、監督に「香港のスピルバーグ」ことツイ・ハークに代わって『燃えよデブゴン』ことサモ・ハン・キンポーを迎え、黄飛鴻が記憶喪失になってインディアンの嫁を貰ったり、ビリー・ザ・キッドと共闘してガンマンと対決したりという山田風太郎ばりの無茶苦茶が展開されており、必見の怪作となっております。


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