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ダイキチデラックス

007/ロシアより愛をこめて FROM RUSSIA WITH LOVE

[監督]テレンス・ヤング [出演]ショーン・コネリー、ダニエラ・ビアンキ、ロバート・ショウ  1963年


襲いくる罠!全世界の暗殺者に挑む007必殺の消音銃!!

 国際的秘密結社スペクター(SPECTRE:SPecial Executive for Counter-intelligence, Terrorism, Revenge and Extortion = 対敵情報、テロ、復讐、強要のための特別機関)首脳部は、前作『ドクター・ノオ』で、クラブ諸島の領主ノオ博士の秘密基地を破壊し、アメリカ月ロケットの軌道妨害を阻止したボンドへの復讐、それもソビエト情報局の美人女性情報員と暗号解読機「レクター」を餌にボンドを「辱めて殺す」ことで、両国に泥を塗り外交関係を悪化させ、更にその機に乗じて暗号解読機を強奪するという、一石三鳥の計画を立案した。ソビエト情報局の殺人機関の課長ロッテ・レーニャ大佐が秘かに首脳部に転向したことにより、真相を知らない部下の情報員ダニエラ・ビアンキを利用、実行する手筈が整った。ロッテ大佐は、ダニエラに暗号解読機を持ってイギリスに亡命するよう、また亡命時にはボンドが連行することが条件だと言うように命令する。英国海外情報局のトルコ支局長ペドロ・アルメンダリスからダニエラの亡命要請を受けたボンドは、罠の匂いを感じつつも、トルコのイスタンブールに赴いた。しかし、そこにはスペクターの刺客ロバート・ショウが待っていた。

 シリーズ第2作にして永遠の最高傑作。脚本の完成度の高さは天下一品です。最近はアクションやドンパチは派手になっているものの、スパイ物としては、いささか首を傾げざるを得ない作品が増えてきていますが、本作では二重三重に仕掛けられた罠がボンドを襲います。アバンタイトルで、いきなりボンドが殺されてしまうというショッキングな映像を見せておいて、実はスペクターの殺人訓練でしたと明かすなど、つかみもOK。ボンドの宿敵となるスペクター№1ブロフェルドも初登場。顔は見せないので、後年のドナルド・プレザンスやテリー・サバラスのようにハゲかどうかは分かりませんが、膝の上にペルシャ猫を抱きながら冷酷に指示を下すという悪の黒幕の基本スタイルを確立しました。更に、ラストシーンでの空しいキックが笑える恐怖のサディスティック・レズビアン・オバさん、ロッテ・レーニャや、筋肉もりもりの殺し屋、内海賢二の吹替で「なあ、大将」とボンドに呼びかけるのが印象的なロバート・ショウなど悪役陣も壮絶なまでに憎々しげで素晴らしい。

 しかし、何よりも素晴らしいのは、ボンドガール史上最高の美女、タチアナ・ロマノヴァ役のダニエラ・ビアンキである。こんな美人、見たことないというほどの超美形。当時21歳のイタリアの女優さんなのだけれど、ただ綺麗で可愛いだけじゃなくて、ばっちり知性を感じさせるところが素晴らしい。知性的という意味ではジェーン・セイモアもキャロル・ブーケも良かったが、やっぱりダニエラ・ビアンキの足元にも及ばない。この人を超えるボンドガールは出ないのではないかとさえ言える完璧さだ。チョーカー一本だけでベッドに入っている姿、オリエント急行内で甘える姿、どれもこれもたまりません!しかし、ラスト、ヴェネツィアの運河のゴンドラのシーンは悲しかった。いいところなのに、昔の映画ならではの安っぽいスクリーン・プロセスによる合成で済まされてしまったのは、かえすがえすも残念無念。ちゃんと現地でロケしてほしかったなぁ。


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