ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

カブキマン SGT.KABUKIMAN N.Y.P.D

[監督]ロイド・カウフマン、マイケル・ハーツ [出演]リック・ジアナシー、スーザン・バイアン、ビル・ウィーディン  1990年


カブキマ~ン、さ~んじょ

 日本人一家惨殺事件を追うニューヨーク市警の刑事、リック・ジアナシーが乗り込んだ先の劇場では日本のアングラ歌舞伎役者、サトウによる芝居が演じられていた。そこで突如始まってしまった銃撃戦に巻き込まれたリックは、流れ弾に当たって瀕死のサトウから、口移しに、どう見てもミミズにしか見えないものを飲まされる。それこそ、サトウ一族が先祖代々受け継いできた「カブキの魂」であり、残されたサトウの孫娘スーザン・バイアンは、大企業の経営者であり慈善家であるビル・ウィーディンに化けた悪霊イーブルワンの復活を防ぐのが彼の使命だと告げる。最初は相手にしなかったリックだが、しだいに自分の身体がカブキマンの姿へと変化し、不思議な力を帯びるのを見て、スーザンと共に修行に励み、その力を正義のために使うことを決意する。しかしそんな中、ビルは悪霊復活の儀式の生け賛としてスーザンを誘拐する。駆けつけたリックはついに悪霊としての姿を現わしたビルを前にカブキマンに変身。和傘を振り回したり、大量の割り箸で突き刺しまくったり、手巻き寿司を無理やり食わせたりして悪党どもを惨殺する!

 こんなもんを真面目に見ていると、もう世の中なんて人生なんてドーデモいいやってな感じになって、プータロー人生を送ってしまいそうなので、鑑賞の姿勢は適当でいいのです。でも、拍子木の音に乗って「カブキマ~ン、さ~んじょ」と参上する間抜け面を見るたびにアメ公への怒りが湧き上がったのは、はっきり憶えています。愛国心高揚に最適の国辱映画。最近の若い人たちにこそ見てほしいですね。でも、実は、ゲーム屋のナムコが、雨宮慶太監督のデビュー作『未来忍者 慶雲機忍外伝』『ゼイラム』のヒットに気をよくして製作した日米合作映画。バブルで調子こいて映画産業に進出したバカどもが、よりにもよってB級低予算悪趣味映画の殿堂、あの『悪魔の毒々モンスター』シリーズでおなじみのトロマ・エンターテインメントに発注するという愚行を犯したのでした。天罰覿面といおうか、ナムコは、これを最後に映画産業から足を洗います。売国奴の哀れな末路ですね。

 ところで、画像を御覧いただければお分かりのように、カブキマンは歌舞伎役者というよりは、出来そこないの聖飢魔Ⅱみたいな格好をしています。まぁ『五星戦隊ダイレンジャー』に出てきた怪人「カブキ小僧」(こいつは「かぶぅぅきぃぃぃ」と言いながら、『勧進帳』の弁慶の飛び六方で現れる。電線音頭の「おっとっとっと」の動きとも言う)よりはヒーローらしく見えないこともありません。でも安物のプロレスの悪役だとか新人のへヴィメタルバンドのベースの人だとか言われれば、そうなんだぁとも思います。どっちにしろアホ丸出しなのは間違いないです。見ると目が腐ります。最悪です。さすがトロマです。


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