ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

夜のミュージックストレンジャー

[出演]伊吹吾郎


Stranger in the night……最大のストレンジャーが司会者

 いろいろ調べているのに、まるで資料がない。世間に音楽番組数多けれど、そのインパクトにおいて並ぶものなき異色作。伊吹吾郎が司会する音楽番組ですよ、もぉちょっと注目されてもいいのではないでしょうか。1990年頃に放送されていたもので、どうやらテレビ神奈川の番組だったようです(私はKBS京都で見たのですけれどね)が、フランク・シナトラの名曲「夜のストレンジャー」に乗って、伊吹吾郎が、あの格さんがタキシード姿で登場。でも角刈り。否が応でも、あの土曜ワイド劇場での黄金仮面役を思い出させます。

 俳優さん(しかも、ちょっと硬い感じの)が音楽番組の司会をやるというと、取り上げられる音楽もクラシックとかなんとか硬い感じになりがちですね。長門裕之と南田洋子が司会をしていた『ミュージックフェア』も、少し格調高めな番組でしたし、ゲストもキャピキャピしたアイドルなんかではなく、それなりのアーティストが選ばれていたと記憶します。時代劇一筋の伊吹吾郎は、硬さという点では、長門をはるかに凌ぎます。おまけに、この人はフラメンコ・ギターの名手という意外な横顔を持っているので、やや小難しい系に走るのかなぁと思いきや、一般的な、ごくごく普通の歌番組として進行、おまけに、やたらフレンドリーに「やぁ、良く来てくれたね」とかなんとか言って、その日のゲストであるBaBe(これがまた司会者からイメージされる番組像に合わないゲスト)の肩に手を回すセクハラぶり。後にWinkに芸能界から駆逐されてしまうBaBeですが、伊吹吾郎とのツーショットなんて、誰が想像するでしょうか。しかも、フレンドリーなわりには、司会とゲストの距離がありありと感じられて大笑いなのです。

 でも、さすがにシュールすぎたのかBaBeに文句を言われたのか伊吹吾郎は降板。この後、司会は野口五郎に替わり、更には松崎しげるに替わり、と、歌の上手さでは定評があるものの、司会者としてはどうなのか疑問が残るやたらマニアックなわりに一貫性のない人選で番組は続いていきましたが、いつの間にか終了。「夜のストレンジャー」をちゃんと司会者自ら歌い上げるようにしたのも効果を発揮しませんでした。松崎しげるの頃にはスポンサーにエドウィンがついて、えらくカジュアルな音楽番組に変貌し、普通になっちゃって面白味もなくなっていましたからね。もう一回やってくれんかな、伊吹吾郎で。


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