タイトルだけ見ると県警が頑張る西部警察とかそういう感じなのかなぁと思いますが、全然違って、県警という名のヤクザと、市会議員という名のヤクザと、そのまんまヤクザがくんずほぐれつ戦う物語です。笠原和夫が『仁義なき戦い』の取材過程で耳にしたヤクザと警察の癒着に関する実話を参考に脚本を書き、深作欣二が監督した『仁義なき戦い』の兄弟分映画。しかも、『山口組三代目』や『三代目襲名』の製作によって警察から証券取引法違反(というのは上辺だけで、実は東映が山口組の資金源になっていると疑っていたらしい)の疑いで家宅捜索を受けていた東映が、「最近警察に叩かれているから警察ものでやってみよう」と企画したという反骨精神丸出しの凶悪作品なのです。
昭和32年。遠藤組内紛による倉島市のやくざ抗争は、反主流派・三宅組長の射殺と、遠藤太津朗組長の逮捕で一応終止符を打った。三宅派の金子信雄が組を解散後市会議員となってから市政の腐敗が目立ち、金子の可愛がる大阪の流れ者・成田三樹夫が組を結成して以来、遠藤組の留守を預る若衆頭・松方弘樹との小競合が頻繁に起こるようになった。昭和38年。倉島署、捜査二課の部長刑事・菅原文太は、暴力団担当のベテラン刑事として腕をふるっていたが、現在の警察機構では文太がどんなに実績をあげても、昇進試験にパスしない限り、警部補にはなれない。彼の10年先輩の佐野浅夫部長刑事がそのいい見本であった。文太は6年前、三宅組長を射殺した松方の犯行を見逃してやって以来、松方と固い絆(ホモじゃないっす)で結ばれている。連続する抗争や違法捜査の最中、文太は金子が成田組の縄張り拡張のために職権乱用した事をつきとめ、松方と二人で成田組の土地買収計画を叩き潰す。祝杯を上げる二人であったが、成田組と利害を共有する県上層部は、遠藤組を潰すために動き出す。倉島地区の暴力取締り本部が再編成されることになり、県警本部から若手エリート警部補・梅宮辰夫が赴任した。梅宮は、法に厳正、組織に忠実、やくざとの私的関係を断つ、と、三点をモットーに本部風を吹かせた。そんな中、県警主導による暴力団一掃作戦が開始され、県警、市政、ヤクザが三つ巴となった戦いが始まる!
川谷拓三自身が「楽しかった」と述懐する半殺し寸前の取り調べから、温情を受けての便所でのファックシーンが語り草となっていますが、金子信雄や成田三樹夫が悪いのや、梅宮辰夫が嫌な感じでニコニコ爽やかにラジオ体操なんかしながら生き残っていくのは当然として、初めはいい感じのおやっさんって風情で出ていた佐野浅夫が実にいやらしく変貌していくあたりが人生の深みを感じさせてたまりません。もっとも、癒着だなんだって社会派なテーマではあるのですが、見ている間は、暴力、暴力、暴力のつるべ打ちで、救いようのないラストまで一気に突っ走ります。ある意味、もっとも純粋だった文太が迎える呆気なくも哀しい最期。男と男の絆(だからホモじゃないっす)が踏みにじられていく現実……生きていくって、なんて哀しいことなんだろうと胸が締め付けられるようですね。兄弟分映画とはいえ、はっきり言って『仁義なき戦い』より面白いです。