ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

アクマイザー3

[出演]井上真樹夫、矢田耕治、八奈見乗児  1975年


うなれジャンケル!アクマイザー3!

 地底にあるダウンワールド(懐かしの地下空洞説です)から、突如、地上侵攻を始めたアクマ族。その一員でありながら、平和を愛するがゆえに祖国を裏切り、正義のために戦う主人公のザビタンは、アクマ族と人間の混血児である(こいつにしろミラーマンにしろ、親同士は、どこで出会って、どんなふうに子づくりしたのだろうか)。討伐隊であるイビルとガブラは、彼の心意気に引かれ、正義の三銃士アクマイザー3を結成する。裏切り者である彼らは、かつての友人や恋人とも戦わなければならない。しかし、アクマ族にも人類にも平和が訪れることを願い、彼らは今日も非情の戦いに身を投じていくのである……。

 なんと哀しい設定でしょう。泣かせます。同じような設定でも、自分が殺した男の恋人に惚れて仲間を裏切った色ボケ悪魔のデビルマンなんかとは志の高さが違うのである。さすがヒーローもの全盛期の東映で長坂秀佳が手がけただけのことはあります。また、主人公たちは変身なんかせず、最初から最後までアクマ族の姿のまま活動し、キカイダー以降、長坂がこだわっている仮面劇を踏襲、ドラマに深い味わいを加えています。このようにドラマ性、悲劇性の高い基本設定でスタートしたものの、いくらなんでも暗すぎて、当時の子供たちに受けがよろしくなかったのか、中盤以降、主人公がイケメン人間に変身できる能力を持ったり(しかも変身コードは「変わるんだら~」)、娯楽性もパワーアップされ、楽しい要素もバッチリ注入されます。地上水没作戦のため水脈探しが、村の水不足を救ってしまい、人々に感謝されてしまう親馬鹿ノッペラー(声は永井「野球仮面」一郎だ!)、ベロで舐めると人をアホにできる能力で学校の先生をアホにして子供たちにアホな教育(「2+3=へのへのもへじ」!)をさせようという遠大な計画「日本中おばかちゃん作戦」(!)を企むが、片思いのせいで野望が潰える(これは結構泣かせますよ)ナメナメーダなんて舐めた奴らが登場。最近のヒーローモノのように、十把一からげで爆殺されるなんてことはなく、彼らは心を入れ替え、平和のために活動することを誓い、平和党四人衆を結成するのですが、最終回には、三銃士もノッペラーもナメナメーダも(変な顔のくせに)悲しい最後を迎えてしまいます。これは、長坂の執念の賜物でしょうか。

 石森章太郎によるデザインワークも脂が乗りまくりで実に素晴らしい(主人公の一人、ガブラはカッコよさを完全放棄したウンコ頭)。とにかくチャンスがあったら一度見てほしい名作です。ちなみに衝撃の最終回から、ヒーローの魂を受け継ぐという形で始まった異色の続編『超神ビビューン』は普通のヒーローモノになっちゃってました。残念!


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