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ダイキチデラックス

キラーコンドーム KONDOM DES GRAUENS

[監督]マルティン・ヴァルツ [出演]ウド・ザメール、ペーター・ローマイヤー  1996年


殺人コンドームが人類に無差別攻撃を開始した!!

 ニューヨーク。場末のホテルで女子学生を連れ込んだ大学教授のチンポが食いちぎられる愉快な事件が発生。32cmの巨根を誇るホモの刑事ルイジ・マカロニは、捜査のために訪れたホテルで、仕事を放ったらかして美少年ビリーとコトに及ぼうとしたところ、突如歯を剥き出したコンドームに襲いかかられた。片方のキンタマを食いちぎられ、復讐に燃えるマカロニは、無関心なニューヨーカーを尻目に捜査に乗り出す。死闘の末、一匹のキラーコンドームを仕留めて検視してみると、なんと、これは人工生物だった。更に事件を追い続けるマカロニの前に、キラーコンドームを操る女性至上主義者の一団が立ちふさがる。

 バカ映画かな~と思ったら変に暗くて重い純文学な雰囲気が漂う怪作。装着した途端チンポを食いちぎる化け物、キラーコンドームを追う刑事の話なので、間違いなく、どこへ出しても恥ずかしいバカ映画なのですが、どこか芸術祭参加作品のように、ず~んと暗くてマジメな雰囲気が漂ってきます。別にバカ映画だから明るくなきゃいけないわけじゃないんですけれど、暗いバカ映画って、見ているこっちが落ち込みますからね。バカ映画というのは、映画そのものと作った奴をバカにしつつ、見ている自分もバカにして笑い飛ばすものだと思うんですが、こうまで暗く作られると、何か自分が犯罪者になったような気がしますね。そんな映画の主人公は、ホモでデブでハゲという三重苦(でも巨根)の刑事。こんな十字架背負いまくりの刑事がコンドームの化け物を追うんですよ。あまりにも救いがない設定ですね。しかも、この主演俳優が、なんと言うか人生の悲哀って奴を表現しまくって余りある演技を披露するんですね。ある意味、かなりの名演技だと思うんですよ。生きていくってことはなんて辛いんだろう、みたいな感じがビシビシ伝わってきますからね。そりゃ辛いだろうさ、こんな映画に出ていたら、とか思うんですけど。更に、役者も役者なら、監督も監督。バカな企画をなんとかゲージツに高めようと努力したのか、単にユーモアのセンスが欠如していただけなのか、抑えたトーンの画調で見るものの心を深い深い海の底へと引きずり込んでくれます。とにかく撮った奴の真意が知れない映画です。ドイツ映画だからかしら。まぁ、こんな映画撮っているくらいですから第三帝国の野望なんか、とっくに忘れているぞ。世界は平和でよかったね。そうとでも思わないと、救いがなさすぎてイヤになります。

 それと、このキラーコンドームのデザインのバカバカしいこと。エイリアンをデザインしたH・R・ギーガーの仕事なんですが、デザインというほどの仕事をしているとは思えない。エイリアンもチンポだったし、こんな絵ばかり描いて金を稼いでいるのでしょうか。大人のすることとは思えません。


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