ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

俺たちは天使だ!

[出演]沖雅也、多岐川裕美、柴田恭兵、渡辺篤史、神田正輝  1979年


運が悪けりゃ死ぬだけさ

 とにかく、この頃の柴田恭兵はカッコよかったんですって。『あぶない刑事』とか『はみだし刑事情熱系』とか、あんなもんは柴田恭兵でもなんでもないんですよ。「RUNNING SHOT」なんか聞いてよがっている人は反省しなきゃいけません。特に『はみ刑事』みたいな子持ち役だなんてトンデモナイ話です。いくら娘役の前田愛や木内晶子が可愛いからって、勘違いしちゃいけません。役者としての成長とか、年相応の役柄とか、そんな常識的な価値判断なんかしちゃいけないんです。足取り軽く、腰を振り振り、今日もオネエチャンの尻を追いかける、重みも深みも感じさせない、この作品の柴田恭兵こそが、柴田恭兵と名乗る資格があるのです。これこそあるべき姿なのです。と褒めちぎっていますが、恭兵は主役じゃありません。この伝説的にイカス和製サスペンス・コメディの金字塔の主役は沖雅也です。

 笑いとアクションを中心にした、1話完結の楽しい青春冒険探偵ドラマ。家出、盗難、素行調査、アリバイづくり!青山通りの一等地にある麻生探偵事務所は、設備とメンバーはデラックスだが、今日も客が来なくて貧しい私立探偵チーム。CAP(キャプテン)沖雅也を中心に、NAVI(ナビ)渡辺篤史、DARTS(ダーツ)柴田恭兵、JUN(ジュン)神田正輝ら、一癖も二癖もある探偵達(秘書のYUKO(ユーコ)は多岐川裕美)が、ややこしい事件に巻き込まれたり巻き込んだりの珍騒動……いや、毎回依頼を華麗に解決!お困りのときは麻生探偵事務所へ!

 柴田恭兵はバラとダーツを持って腰を振り振りディスコでフィーバー。沖雅也は純白スーツでブーメラン片手に大活躍!これまた超絶的にカッコいいんである!なんでも、沖は、この役を「自分自身の本来の姿が一番出ていた役柄」として非常に気に入っており、「涅槃で待つ」の遺書にも「自分の遺影には『俺たちは天使だ』の写真を使って欲しい」と書いてあったらしい。『仕事人大集合』で復活した時の棺桶の錠は、口数少なくストイックだったオリジナルと違って、軽くて明るくて(女なんか絶対寄せ付けないキャラだったのに女郎の斡旋なんかやっていた)、この役に近い雰囲気があったなぁ。つくづく惜しい役者を亡くした……と湿っぽい話はここまでにして、カッコイイ部門の二人のほかは、今では住まいの目利きと化した渡辺篤史が、必殺シリーズでのパシリ役にも似たいい味を出している。また、いまだに白髪を染めて片平なぎさの婚約者役で活躍中の神田正輝は、「俺も石原軍団だ!」ってな勘違いもなく、情けない役柄にピッタリはまっている。更に予告編のナレーションは、これまた軽快な山田康雄だ!テレビドラマ主題歌史上屈指の名曲、「男たちのメロディー」を皆で歌おう!こんなにカッコよくてしゃれた作品、ちょっとやそっとじゃお目にかかれないよ!明日のディナーは出がらしのアメリカンと鯵サンドだ!


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