ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

聖闘士星矢 真紅の少年伝説

[監督]山内重保 [出演]古谷徹、潘恵子、神谷明、広川太一郎  1988年


君は小宇宙(コスモ)を感じたことがあるか?

 アテナの兄、伝説の太陽神フォェボス・アベルが復活。かつてゼウスが人間に天罰を加えたように、火山噴火や大洪水を起こして穢れた人類を粛清し、地上世界を神々の手に委ねるようと目論む。兄の元へ赴くアテナ・城戸沙織を追おうとする星矢たちの前に、十二宮戦で死んだはずの双子座(ジェミニ)のサガ、蟹座(キャンサー)のデスマスク、山羊座(カプリコーン)のシュラ、水瓶座(アクエリアス)のカミュ、魚座(ピスケス)のアフロディーテたち黄金聖闘士が現れる。彼らはアベルの力によって甦ったのだ。アテナが神々の世界へ帰った以上、アテナの聖闘士は最早用済みと言われた星矢たちは、アテナに見捨てられたと考え、自分たちの存在意義を見失う。実はアテナは、アベルの企みから人類を守るため、単身戦いを挑みに行ったのだったが、力及ばず、アベルの小宇宙の導きによって死の国よりエリシオン、世に言う極楽浄土へと魂を墜とされてしまう。更に、アベルがアテナを永遠の眠りにつかせたことに怒ったシュラとカミュは、神への反逆の罪で、りゅうこつ座(カリナ)のアトラス、かみのけ座(コーマ)のベレニケ、やまねこ座(リンクス)のジャオウらアベル配下のコロナの聖闘士(黄金・白銀・青銅いずれの階級にも属さず、神話の時代より太陽神に仕えるべく選ばれた聖闘士)に誅殺される。アテナの小宇宙を感じ取った星矢たちは、アテナを救うために聖域の禁断の地ディグニティヒルに乗り込むのだが……。

 東映まんがまつりの枠を離れ、週刊少年ジャンプ創刊20周年記念企画として上映された劇場版第3作。上映時間も前2作の45分から70分に充実。黄金聖闘士の復活というイベントも、オリジナル作品でありながら、アテナに忠誠を誓っていたばかりにあっさり殺されるシュラとカミュ、甦っても悪辣非道なデスマスクとアフロディーテ、実は腹に一物のサガと原作のツボを踏まえた脚本は菅良幸の良い仕事。更に、ただでさえ豪華な声優陣に、コロナの聖闘士役でベテラン神谷明、森功至、古川登志夫が参戦。更に更に太陽神アベル役には超ベテラン広川太一郎を起用するという贅沢さ。ちなみに駄洒落なんか一言も言いません。これを超えるキャスティングは望んでも得られるものではありません。登場人物全員が超王道の二枚目声で迫ります。それぞれが必殺技を放つシーン(特に神谷明が裏返り気味の声で「バーニング・コロナ!」と叫ぶのが絶品)は、思わず一緒に叫びたくなること間違いなし。

 また、劇場版だけあって絵も素晴らしく美しく、さすが美少年キャラを描かせたら天下一品、キャラクターデザインと作画監督の荒木信吾の技が冴えています。当山ひとみという知らない人が歌う主題歌「YOU ARE MY REASON TO BE~愛は瞳の中に~」(80年代丸出しのタイトル)もグーよ。


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