ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

聖獣学園

[監督]鈴木則文 [出演]多岐川裕美、山内えみこ、渡辺文雄  1974年


耽美と残酷が彩なす禁秘のロマン

 多岐川裕美。女優。『ウルトラセブン』のソガ隊員の元奥さんで、『ウルトラマンメビウス』のリュウ隊員の元奥さんのお母さん。最近では、『鬼平犯科帳』の久栄役で、しっとりおっとり和風な奥様を演じています。『俺たちは天使だ!』のヒロイン、YUKO役も懐かしいですね。しかし、人に歴史あり。アイドルとして鳴かず飛ばずだった彼女は、こんな映画で本格的スクリーンデビューを果たしていたのです。まぁ恥ずかしい。

 修道尼だった母の死因をつきとめるべく修道院に入ることを決意した多岐川裕美は、セントクルス修道院に助修女となって潜入した。院長森秋子、副院長三原葉子に助修女の部屋に案内された裕美は、少年刑務所出身の山内えみ子、清純な渡辺やよいと同室になった。院長室に忍び込んだ裕美は、一冊のノートの中に、裕美の母が心臓麻痺で死亡、と記されてあるのを見付けた。そんな頃、修道女たちから大変人望のある司祭の渡辺文雄が修道院を訪れた。渡辺は院長と肉体関係があり、二人で修道院の金を私欲に用いていた。一方、監視の厳しい三原副院長が欲求不満に陥っているのを知った裕美は、谷隼人を修道院に忍び込ませて三原副院長を犯させ、男狂いにさせて排除することに成功する。しかし、三原副院長の代りにローマから着任した衣麻遼子は、渡辺と結託して教会の魔女狩りを行い、その責任を全て院長に取らせ、自分が院長になるべく企む。修道院に渦巻く陰謀の帰趨は?そして、裕美が最後に辿り着いた驚愕の真実とは?

 エロティック・バイオレンスです。ポルノです。ストーリーもかなり悪趣味で、ラストの放ったらかし感には唖然としてしまいます。監督は『トラック野郎』シリーズの鈴木則文です。『徳川セックス禁止令 色情大名』『温泉スッポン芸者』『エロ将軍と二十一人の愛妾』の鈴木則文です。多岐川裕美は思いっきり脱いでいます。ソフトとは言えないベッドシーンもあります。おまけに素っ裸に茨で縛られて、鞭で打たれたりなんかしています。そんな映画です。確かに、いくら可愛くても、台詞は超棒読み、おまけにロンパリなので表情もイマイチ分かりにくい新人女優主演の映画になんて、裸でも見せないことには誰も振り向かないのでしょう。おまけに多岐川は、そんなにナイスバディというわけでもなく、その裸だけでは不足と見た鈴木監督は、他の女優にも頑張らせました。『新・ハレンチ学園』の十兵衛役で主演デビューしたかわいこちゃん渡辺やよい、『番格ロック』や『ネオンくらげ 新宿花電車』主演のグラマー山内えみこでガッチリ両脇を固めます。更に、エロでグロだけではいかんということで、三原葉子に相変わらずの活躍をさせ、たこ八郎まで連れてきて無理やり笑いを入れたりもしています(でも焼け石に水)。一番笑えるのは、お決まりのレズ要員の外人女優なのですが、この人の芸名(だろうな、まさか本名ではあるまい)がマリー・アントワネットってところでしょう。というわけで、なかなかに悪趣味でグーな映画です。


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