ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

処刑ライダー THE WRAITH

[監督]マイク・マーヴィン [出演]チャーリー・シーン、ニック・カサヴェテス、シェリリン・フェン  1986年


全米のヤングを興奮させてデス・バトル・アクションがやってくる

 ニック・カサヴェテスが率いる、狙った車の持ち主にカーチェイスを強要し、その強奪を働く悪質な暴走族「ロード・パイレーツ」が牛耳っているアリゾナの町ブルックス。この町ではかつてジェイミーという一人の青年が惨殺される事件が発生していた。しばらくして、ブルックスにチャーリー・シーンという旅人がやって来る。同じ頃、カサヴェテス達の前に謎の黒い車、ターボ・インターセプターが出現する。カサヴェテスは例によってターボを奪おうとカーチェイスを挑むが、ターボの相手となった手下達は次々と事故死させられてしまう。保安官のランディ・クエイドは連続事故の調査を続け、捜査の過程でジェイミーを殺した犯人が、彼の恋人であったシェリリン・フェンを付け狙うカサヴェテス達であったことを知る。そして、シェリリンが夢中になっているシーンと謎のライダーが、なぜか同じ時に、同じ場所に姿を現わすこともわかった。カサヴェテスは、しつこくシェリリンを追い、自分のものにならなければ殺すと強迫し続けた。一方、謎のライダーは、カサヴェテスが1人になるまで一味を殺し続ける……。

 これぞB級映画の王道を行く作品。何にも考える必要なし。難解度ゼロ。なんて単純明快なストーリー。「謎のライダーの正体は?」なんて考えながら見てる必要はまったくない。当時はまったく無名のチャーリー・シーンが主演、他の俳優も知らない顔ばっかり、監督の名前も聞いたことがない典型的なB級映画なのですが、アクションあり、カーチェイスありで、見た後には何も残らないという、ほろ酔い加減で見るには最適の映画です。しかし、黒ずくめで復讐に現れたって、やられる方にしてみれば、ただの黒服のキチガイレーサーに殺されたと思うだけで、「地獄の底から蘇ったぜ」みたいなことで相手をビビらせ、自分の罪を自覚させなければ、本当の復讐にはならないのではないかと思うのだが、いかがでしょうか。まぁ、そんな細かいことを考えながら見る映画じゃないんですけれど。

 しかし、こういう映画こそ、まさに夜のオトモ、うなぎパイな作品なんである。レンタルビデオ屋というのは、本来、こういう映画で飯を食うべきなのだ。レンタルビデオなんて、もともとはポルノが発祥なんだから、ついこの間まで劇場公開していて、しかも客もそこそこ入っていたような話題作が何十本も並べられているような店はダメです。そして、そんなソフトをカップルや親子連れがニコニコしながら借りていく現状は不健全である。夜中に小さい子供を連れてレンタルビデオ屋に来ている一家というのは見苦しくって仕方がない。そんな時間は寝かせておけよ。昔の映画とか誰も知らないようなB級作品を、何もすることがないオタクどもが夜中に見るために、こそこそと借りていく。こういう寂しげな、はかなげな、哀しげな風情こそレンタルビデオ屋のあるべき姿である。文化というものは、そういう風にして棲み分けられてこそ、いろんな花を咲かせられるのではないでしょうか。


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