ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

透明人間 犯せ!

[監督]林功 [出演]佐藤輝昭、志麻いづみ、宮井えりな、マリア茉莉  1978年


透明人間、現る現るぅ~♪

 大学の研究室に勤める佐藤輝昭は、妻の志麻いづみの尻にしかれており、いづみの妹でセックス恐怖症の処女、優しいマリア茉莉を密かに恋している冴えない男。そんな佐藤は、偶然、透明になる薬を発明したが、新しい上司として赴任した、男勝りで生意気なレズ女助教授、宮井えりなに逆らってクビになってしまう。ヤケになった佐藤は、自ら透明薬を飲み、日ごろ妄想していた事を実行に移すことにした。女風呂を覗くだけでは飽き足らず、触って犯してやりたい放題。ついに憧れの茉莉の部屋に忍び込み、彼女の下着に処女の匂いを求めるとエスカレート、来ているものを全部剥ぎ取って、念願の処女をいただき。更に金髪女とレズ遊戯にふけるえりな、日頃佐藤を馬鹿にしきっている妻のいづみと、次々と犯しまくって溜飲を下げる。ある日、茉莉は誤って透明薬をこぼしてしまい、慌てた彼女はそれを水で薄めてごまかしてしまった。そうとも知らず、薄めた薬を飲んだ佐藤は、学会で研究発表中のえりなを悪戯しに出かけた。熱心に研究発表をしているえりなを全裸に剥き、ついでにズコバコ、男嫌いのえりなも、恍惚にのたうちまわるが、透明薬の効果は、後わずかしか持たないのであった……。

 透明になる薬を発明した男が、その薬を飲んでスケベなことをしてまわる、という、ニキビ面のモテない中学生が深夜放送を聞きながら妄想しましたという内容の日活ロマンポルノです。原案は『未来少年コナン』の脚本も書いた中野顕彰……ね、メルヘンでしょう?あっちこっちへ性欲を発散しに行く羨ましい主人公なわけですが、なにしろ透明人間なので、画面上はコンドームだけが宙に浮いている状態です。おまけに、装着時の「すぽっ」というSEが脱力感倍増で抜群のセンスを感じさせます。更に洋式トイレで、時の人ビデ夫人(『超電子バイオマン』のフェラ、もといファラこと飛鳥裕子)を背面座位で犯すシーンと来た日には、便座から女の体が宙に浮いているという特撮バリバリの名シーンです。脚本は『時をかける少女』『あした』『ふたり』の桂千穂……ね、ファンタジーでしょう?

 トイレのシーンもですが、なにしろ相手は透明人間なので、エッチシーンは女優が一人でよがっています。これが大笑いなのですが、よく考えてみたら、女優が一人でよがっているのは、すべてのエロ映画で当たり前のこと(たとえ本当に挿入していても、カメラの前で感じる女優なんていないよね)であって、ひょっとしたら、この作品は、エロ映画における男優の存在価値を問うた問題作なのか、はたまた、そんな映画を見て興奮している客に対する痛烈な皮肉を意図したものか、あるいは自虐的なギャグなのか?……なんて深読みは野暮というもの。て言うか、そんな大層な作品じゃないです、お笑いロマンポルノですもの。レイプものという反社会的な内容なのに、全然嫌な感じがせず、むしろ爽やかな気分になるのは何故でしょう。ともあれ、「アホやなぁ」って笑いながら鑑賞いたしましょう。


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