ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

特捜戦隊デカレンジャー

[出演]載寧龍二、林剛史、伊藤陽佑、木下あゆ美、菊地美香、稲田徹  2004年


相棒って言うな!

 S.P.D.-Special Police DEKARANGER。燃えるハートでクールに戦う5人の刑事達。彼らの任務は、地球に侵入した宇宙の犯罪者達と戦い、人々の平和と安全を守ることである!

 スーパー戦隊シリーズ第28弾にして『五星戦隊ダイレンジャー』から10年ぶりの大傑作誕生!シリーズ初の刑事モノである。事件発生、捜査、推理と、キッチリと刑事モノの常道を踏んでいるあたりが素晴らしい。実は真犯人は……なんてどんでん返しまで用意して自由自在の展開を見せ、「なんやかんや言っても最後はロボ戦」という戦隊モノの悪弊も消え去って、毎回、新鮮な緊張感を持って見られるのだ。敵は個別の犯罪者で、いわゆる敵組織って奴を設定していないので、1話完結を基本にバリエーション豊かなエピソードを連発。特に70年代刑事ドラマの重苦しくやるせない雰囲気充満の第37話「ハードボイルド・ライセンス」は、子ども番組、特に低年齢層をターゲットにしている戦隊モノとしてはギリギリの大冒険!そんな異色作まで許容する懐の深さ、そして、「生きていくのに大切なことは、勇気と愛と正義を信じる心なんだ!」と、堂々と謳い上げる素晴らしさ!とにかく、脚本、演出、何から何までハズレ無しのハイ・クオリティ!こんなに完成度の高いシリーズは、まさに10年に一度出るか出ないかの大傑作なのである。

 そして、この作品の大成功を決定付けたのがボス、ドギー・クルーガーの設定。アヌビス星人ということで見た目はただの犬(ジャッカル)で、それだけだと萎えてしまうのだが、声を当てている稲田徹の宇宙一の名演によって、とにかくカッコイイ。刑事モノの雰囲気を一層強固にするとともに、頼れる大人像を提示することに成功している(もちろんデカレンジャー自身が頼れるプロフェッショナルであることは言うまでもない)。その上「百鬼夜行をぶった斬る!地獄の番犬、デカマスター!」(アヌビスは冥界の神ですからね)と変身までしてしまい、あまつさえ「オレのハートに燃える火は、悪人共には地獄の業火!燃やし尽くすぜ……平和のために!」なんてイカス台詞を吐いて銀河一刀流百人斬り!主役食いまくりだ!ビッグワンか、お前は!……いやいや、主役5人も素晴らしいです。レッドの兄ちゃんは顔のデッサンが狂っている気がするが、キャラ立ちは尋常ではない。ここまで5人の性格を明確に描き分けた作品は実に久しぶり。ここまでやってこそ、グループ・ヒーローの良さが生きるのだ。プロフェッショナルとしてのヒーロー像も併せて、原点である『秘密戦隊ゴレンジャー』を髣髴させるかっこよさ。「一つ!非道な悪事を憎み!二つ!不思議な事件を追って!三つ!未来の科学で捜査!四つ!よからぬ宇宙の悪を!五つ!一気にスピード退治!」いやぁ、ヒーローものは、こうでなくっちゃ!せっかく石野真子をキャスティングしたのだから「日曜日はデカレンジャー」なんて挿入歌を歌ってほしかったと思うのだが、それはいくらなんでも無理か。とにかく愉快痛快、単純明快、勧善懲悪、娯楽活劇!捜査せよデカレンジャー!戦え、特捜戦隊デカレンジャー!(←こういうナレーションも久しぶりね)


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