ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

尻怪獣アスラ RECTUMA

[監督]マーク・ピロー [出演]ビル・デブリン、ダニー・レオン、ジーン・ブラック  2004年


世界に明日(アス)はない

 バカ映画を見るには、気力、体力が充実していないと駄目である。いくばくかの金と貴重な数時間をくだらない映画を見ることに費やしてしまったことに対する、ごく当たり前の自責の念というものを跳ね返して笑っていられるだけのパワーを持っていないと、そんな映画を見てしまった自分が許せなくなって死にたくなってしまうのである。であるからして、このコラムは体調を万全にして読まなくてはいけません。よろしいですか。では、ストーリーを説明しちゃいますよ。

 メキシコでのバカンス中、尻食いウシガエルにお尻をレイプされた男。前立腺に毒が侵食したため、尻が感染症によって異常に肥大し、余命いくばくもないと知らされる。ショックを受けた彼は、藁にもすがる思いで唯一この病気の治療を行える可能性があるという、不気味な日本人医師であるワンサムサキの元を訪れる。核収縮棒を尻に突っ込まれる治療を受けて助かったものの、塩水で浣腸することを怠った為、尻はますます大きくなり、ついに緑色に光り輝く。挙句の果てに意思を持った尻は、勝手に男の体を離れ、人々を襲いまくるのだった。人々を吸い込んでは吐き出し、殺人爆風おならで吹き飛ばす尻怪獣アスラ!人類、絶体絶命!

 ……バカでしょう?バカとしか言いようがないでしょう?特に外国のバカ映画というのは本当にバカである。日本のバカ映画は、ちょっとアートというかゲージツに色目を使っているところがあるけれど、外国製品は突き抜けてバカ。知能指数がどうとか言う以前に、そもそも脳みそというものを持ち合わせているのだろうかと疑うほどなのであります。まず設定からしてバカなんである。次に展開がバカなんである。怪獣映画のパロディという側面はほとんど感じられない。大都会が破壊し尽くされるスペクタクルも、襲ってくるのが尻(汚い桃)だから、画面から何の緊張感も伝わってこない(言うまでもなく、特撮もしょぼい)。おまけに繰り出されるギャグがすべて下ネタというのもすごい。シャレたジョークの一つもない。エスプリとかウィットとかいうものを一切感じさせず、ひたすらスカトロのオンパレード。♪モスラ~や♪のメロディーを微妙に崩した替え歌を歌う小「不」美人。これが要所要所に現れるのですが、男子用便器の中で歌っていて小便をかけられるとか、オリジナルにあった可愛さやありがたみなど欠片もありません。まぁ、扱っているのが尻だから仕方がないと言えば言えるけれど(それを言えば『モスラ』だって蛾なのだが)、それにしたって、ここまで下品というのもすごい。まさに糞みたいな映画である。その一途さは、いっそ爽快ですらあるので、体力が有り余っている人とか後悔したくて仕方がない人にはオススメです。なお、出来上がった画面は「爽快」とは程遠いものなので念のため。


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