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ダイキチデラックス

犬神の悪霊

[監督]伊藤俊也 [出演]大和田伸也、長谷川真砂美、泉じゅん、室田日出男  1977年


「悪霊」と書いて「たたり」と読む!

 大和田伸也は東京に本社がある東亜開発のウラン技師。仲間の畑中猛重と小野進也(『ワイルド7』の飛葉ちゃん)と共にウラン鉱探査のため久賀村へやって来て、小野のワイルドな運転で小さな祠を壊してしまったが知らんぷり。それでも大和田は見事ウラン鉱を発見、途中で出会った村の娘・泉じゅんとも結婚を決めてウハウハだったが、披露宴当日に小野がワイルドに発狂してビルから墜落死、畑中が何故かドーベルマンの群れに襲われズタボロになって惨死。この二つの事件が祠を壊したことによる犬神の悪霊であると断定したじゅんは、キチガイの勢いで祈りまくるが勢い余って精神錯乱、実家で憑きもの落しを行うも敢無く死亡。悪いことは重なるもので、ウラン採掘現場でドリルが勝手に大暴れして作業員の腸をぐちゅぐちゅカルボナーラに、仕方なく鉱採法を切り替えたら毒が地下水に流出して村人がゲロゲロ死亡という事件が発生。村人は、犬神筋と言われていた室田日出男一家の仕業だ!許さねえだ!と根拠もなく勘違いして(このあたり差別意識を捉えた社会派風)室田家を襲撃、妻の岸田今日子と娘の山内恵美子を惨殺。出かけていて難を逃れた室田日出男は怨みをこめて「犬神の呪いよ、村人にたたれ!」と犬の首を刀でバッサリ、斬られた生首に首筋をガブリとやられて室田は死亡。かくして犬神の呪いは正式に発動する!

 というわけで長年封印されていた狂気の映画がついによみがえった!伊藤俊也が『女囚さそり けもの部屋』以来久しぶりに撮ったカルト映画。東映の狂った映画をたくさん担当して、さそりシリーズも手掛けた菊池俊輔による、変な女声コーラス満開のテーマ曲も必聴です。差別問題(犬神憑き)を扱った真面目そうな社会派ドラマに見せかけて(いや、見せかけられないか、このタイトルじゃ)、古式に則って生首ドピューン!の犬神の呪いの儀式、何の伏線もなく突如キチガイ登場、更に犬神憑きの少女との超絶バトルが展開され、挙句の果てには燃える死体が意味なく突然起き上がる!『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』か!訳が分からんぞ!正直言ってストーリーは無茶苦茶で、次から次へと超高速で展開する意味不明なシーンに驚いていたら、あっという間に終わってしまうジェットコースタームービー。『水戸黄門』の格さんのイメージが強い大和田伸也が目ん玉ひん剥いて右往左往するところや、室田日出男と岸田今日子が夫婦という村八分にされても仕方ないと思わせてしまうキワキワのキャスティング、当然手を抜かないエロとグロはそれなりに見応えがあるけれど、岸田今日子や白石加代子という存在そのものがオカルトな女優を揃えておきながら、あんまり生かせなかったのは実に残念。

 でも、長谷川真砂美(1965年生まれ、当時12歳)は可愛い!薬師丸ひろ子版『ねらわれた学園』の高見沢みちる(原田知世版じゃ伊藤かずえでしたな)が有名どころかとは思うけれど、小林旭が赤いトラクターとすれ違いながら登場する『多羅尾伴内 鬼面村の惨劇』(免許が取れるのか怪しい片目の運転手がカーステで流す「私の名前が変わります」が最高ね!)でも、口から泡を吹いて暴れる美少女を演じて大活躍!美形すぎてこんな役しか回ってこないのは『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』『ウルトラセブン』第9話「アンドロイド0指令」の小林夕岐子と同系列の悲劇かしら。今はどこで何をしているのだろうか。幸せだったらいいのだけれど。


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