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ダイキチデラックス

仕事人大集合

[監督]工藤栄一 [出演]藤田まこと、三田村邦彦、中条きよし、山田五十鈴  1982年


必殺シリーズ10周年記念スペシャル

 『新必殺仕事人』の終了で仕事人グループが解散していた頃、オランダ貿易の利権をめぐってアイ・ジョージ率いる極悪非道の毛唐殺し屋軍団が暗躍していた。おまけに、この毛唐どもが江戸の元締・鹿蔵や、上方の元締・虎をぶち殺し(元締めのくせに脇が甘すぎるんじゃないか、お前ら。仕事人時代に入って弛んでたな)、裏稼業に喧嘩を売りやがったってんで、大和魂に火がついた仕事人たち。ちょうど人事異動で長崎に向っていた主水とともに、江戸の仇は長崎で討つぜとばかり、出島での最終決戦に臨むのだった。

 『必殺仕事人』から登場した飾り職人の秀に股間を濡らす女どものおかげで、必殺シリーズ(て言うか仕事人シリーズ)が、これから天下を取ろうという時期(続く『必殺仕事人Ⅲ』でシリーズ最高視聴率37.1%をマーク)に作られたスペシャル第2弾にして『必殺仕事人Ⅲ』前夜祭。ぶっちゃけストーリー自体は大したことはない(脚本は野上龍雄と高山由紀子……野上龍雄、もうやる気なんか無くなっちゃってたんだろうか)けれど、かつての仕事師達が番組の枠を超えて出てくるのを見るのが楽しい。と言うか、そこしか見どころがないといっても過言ではない。かつてのシリーズが持っていたハードな雰囲気など望むべくもない(監督は工藤栄一なのに……)ので一抹の哀しさも感じるけれど、そこはそれ、必殺版『怪獣総進撃』なんだから、お祭り作品として楽しむのが正しい。  

 大集合する仕事師は、棺桶の錠・沖雅也、知らぬ顔の半兵衛・緒形拳、鹿蔵・中村雁治郎のほか、仕掛の天平・森田健作、虎・藤村富美男といった死んだはずのキャラまで登場(しかも、また死ぬ)。しかし、大集合と銘打ったわりには少なすぎやしないか。必殺シリーズ200回記念の『必殺仕業人』第24話「あんた、この替玉をどう思う」のカメオ出演の方が豪華だったじゃないか。どうせストーリーはスカスカなんだから、江戸を離れて仕事する念仏の鉄・山崎努、中山文十郎・田村高廣とか、江戸ではおせい・草笛光子のもとで大吉・近藤洋介が仕事してるとか、どじょうの宇蔵・芦屋雁之助と赤井剣之助・中村敦夫が組んで大道芸やりながら仕事してる(マネージャーは正八・火野正平)とか、長崎で糸井貢・石坂浩二が勉強してたなんてのもアリだったろう。おひろめの半次・秋野太作、鉄砲玉のおきん・野川由美子、捨三・渡辺篤史といった情報屋キャラにも集合してほしかったなぁ。その分、フランキー堺が美味しいところを持って行ってたが。まぁ、無い物ねだりをしても仕方がないけれど、この時期、イケイケでノリノリだった必殺シリーズなら、やってやれないことはなかったんじゃないか(せんりつコントを削りゃいいんだ)と残念に思う次第である。


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