水爆を積んだ米軍機が、シャブ中の乗組員(そんな奴をクルーに選ぶほど人材不足なのか)のせいで南の島に墜落。それを目撃したのは川津祐介。彼は、生物学者の園井啓介から昆虫採集の依頼を受けていたのだが、謎の美女キャシー・ホーランと絶賛浮気中だったのだ。ところが悪いことはできないもので、水爆探しに必死の米軍に「ジャップの分際で白人女に手を出しやがって!」と逮捕されてしまう。川津の無実を証明するため島に上陸した園井は、人間を発狂させる毒虫を発見してウキウキ。一方、水爆を巡って、米軍と東側陣営のスパイが大攻防戦を開始、そこへ毒虫を操る気違い女も入り乱れて事態は大混乱、もはや川津の無実などドーデモイイのだ!
松竹が『吸血鬼ゴケミドロ』に次いで製作した絶望映画。タイトルだけ見ると、昆虫同士が縄張り争いだか何だかで戦うのを捉えた教育映画みたいだが、そんなお子様に見せたくなるような映画では全然ない。出てくる連中が全員イカレてて、自分勝手なことばかりして、挙句の果てに、あんなことになってしまうという、とにかく何の救いもない映画。寅さんを撮ってた会社とは思えない作品。なにしろ松竹の数少ない特撮作品のうち、この二本松監督という人は、前年にノーテンキ怪獣映画『宇宙大怪獣ギララ』も撮っているのである。振り幅が広すぎやしないか、松竹、二本松監督。
さて、濃すぎる出演者の濃すぎる行動全開で展開する映画ではあるけれど、当時19歳の新藤恵美が美しい、可愛い、エロいと三拍子揃ってて素晴らしい。副主人公格のヒロインは瞳麗子(獣神ライガーの主題歌を歌ってた弘妃由美の母)の気もするし、ちらっと出てきた園江梨子(「真夏の出来事」を歌った平山みきの姉)も良かったが、新藤恵美には敵わない。後年は濃い顔の豊満悪女のイメージが強いけれど、この作品での可愛さは尋常ではない。また、ただ可愛いだけではなくて可憐に健気で最高なのである。こんな新妻がいて、キャシー・ホーランに手を出す川津が信じられない。まぁ、キャシー・ホーランも悪かないがね。でも、北浜晴子の声で喘ぐんだぜ。ちょっと困るよね。