ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

RETURN TO FOREVER

CHICK COREA  1972年録音


爽快なジャズ崩壊の序曲

 おお、爽やか!海岸線を吹きぬける風のごとき音楽(実際は湿気てるけど、イメージです、イメージ)。コークを飲もう!な音楽。これぞフュージョン・ミュージックの代名詞。特に「What Game Shall We Play Today」は何度聞いてもいい曲だ。フローラ・プリムの透明感溢れる歌声がたまりませんね。以前、TVのCMで使われてたから、皆さんもお聞きになったことあると思いますよ。確かトヨタのCMだったと思いますが、車とイルカが併走してて「今日は何して遊ぼうか?」なんて言う奴ですよ。「お元気ですかぁ?」じゃないですよ。まぁ「何して遊ぼう」なんて言われたら、「そうさ、ナニして遊ぶのさ」「何!ナニとは、やはりナニのことか?」「ふふっ、ナニ以外に、どんなナニがあるってんだい?」と古い漫画のギャグを思い出す私は昭和44年生まれ(知ってるかなぁ『県立地球防衛軍』っていう漫画)。

 音楽から受けるイメージは、そよ風、青空、海原、楽園、そんな感じでいいですね。水平線ギリギリを滑空するステルスなカモメのジャケットからして爽やかですね。全然ジャズっぽくないですね。まぁ、ジャズっぽくないことが売りになるジャズというのは一体何なんだという気もしないではないですが、このアルバムは当時、かなりの衝撃を持って受け入れられたらしく……思えば、よく受け入れたなぁってもんですね。「こんなもんジャズじゃない!」って言いそうなもんなのに……チック・コリアが演奏してたからですかね。「誰某が演奏してるから」ってだけで受け入れたんなら、結局、見識とか何とか、そんなもん欠片もないんやないかって感じですな。まぁ、それはともかく……ジャズを地下一階の暗がり(ジャズ喫茶のことでしょうな)から太陽の下に解放したとか言われて、その後の音楽シーンを一変させたとのことです。もちろん今聞くと普通の音楽ですけど、まぁ、そんな時代もあったのね。て言うか、ジャズ(と、それを聞くような連中)って、よっぽど暗かったんやなぁと逆説的に納得するエピソードです。

 しかし、まぁ、なんて美しい音楽なんでしょう。これは、やっぱりエレピです。エレキなピアノです。漫画ネタで言えば『エレキな春』ってのがありましたな。「エレキテルッ!」……古いですか、そうですか。このエレピの音色が実に美しい。エレピの音色を好むという段階で、既に私は正統派ジャズファンではないのですが、むしろ、それを誇りとしたいですな。ざまぁみろですな。オシャレなので女の子受けもいいかも知れません。ここんとこが一番重要なポイントかもしれませんが(笑)、まぁ、健全な聞き方ではあるな。


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