ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

マンボスパイ2

東京パノラママンボボーイズ  1992年


マンボでスパイ、ドーゾヨロシク!

 「マンボ」……よくよく考えてみると、なにやら妙な味わい深い語感です。土人のフラダンス。常磐ハワイアン・センター。ココナッツとハンモック。熟年のリゾート。ブルーハワイにハイビスカス。黒塗りの前田美波里。ものすごく混沌とした日本人の南洋幻想(もちろん帝国主義や植民地、差別感覚なんかとの関係は否定しませんよ)を直撃しますね。

 私は「マンボ」といえば、その昔、シオノギ提供『ミュージック・フェア』で浅野ゆう子が「マンボ・バカン」を歌ってたという、おそらく本人も忘れたいであろう姿が何故か脳裏にこびりついて離れません。別にファンでもなんでもないんですけどね。

 そして、ここに現れた東京パノラママンボボーイズ。なんでしょう、この名前は。パノラマでマンボ。これだけで、お腹いっぱいです。かてて加えて、率いるはコモエスタ八重樫とパラダイス山元。こいつらもなんなんでしょう。アパートなんか絶対借りられない、いかがわしさ満点の名前ですね。でも、よく考えたら、パパイヤ鈴木とおやじダンサーズってのも、センス的には同じラインやな。デブやし。

 さて、このアルバム。『2』と銘打ってますが、この前作は『マンボ天国』という純正(でもないか)マンボてんこもりで聞き応え充分のアルバムでした。併せてオススメしておきます。で、じゃあ『1』は無いのか、というと、これがキッチリあって、当初アナログ盤だけで発売され、CDでは『2』より後に発売された、というややこしいことになっておるのですが、まぁ、そんなことは知らんでも死にはしません。ちょっとした豆知識。

 この『2』は、『マンボ天国』とは違って、より軽妙洒脱になっており、トテモ聞きやすい一品に仕上がっております。コンセプトが素晴らしく、「マンボによるスパイ映画のサントラ」といった感じで、『オースティン・パワーズ』を一歩も二歩も先取り、いや、遥かに凌駕しています。特に「ダイナマイト・マンボ」は燃える名曲!でも、これって梅宮辰夫の「ダイナマイト・ロック」(『不良番長』の主題歌)の替え歌なのよね。

 しかし、このアルバムに関しては、内容を云々するよりもジャケットデザイン(Art Direction : ICHIRO HIGASHIIZUMI 、Cover Illustration : AKIRA SORIMACHI)の素晴らしさを誉めなきゃ嘘でしょう。見よ、このオシャレ感爆裂のジャケットを!このデザイン、たまらんですな。ほどよくモダンな昭和の匂いがぷんぷん漂ってます。ジャケットだけでも買う価値アリ!


copyright©Daikichi_guy 1999-2020  all rights reserved.