ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

BIRTH OF THE COOL

MILES DAVIS  1949~1950年録音 CAPITOL原盤


実は、そんなにクールでもないクールの誕生

 よぉ考えたら変なタイトルですな。『クールネスの誕生』て言わなあかんのと違うか。正しい言葉遣いを心がけましょうね。

 と、そんな細かいことはさておき、マイルス・デイビスであります。マイルス・デイビスといえば言わずと知れたジャズ界の帝王であり、ジャズなんか聞いたことない人でも名前くらいはご存知でしょう。帝王なんて呼ばれる人が、どんなアルバム作ったか、気になるでしょう?

まぁ、ぶっちゃけた話、帝王だろうがなんだろうが、聞かずにいても何の支障もないんですが、普通は気になるもんですし、マイルス・マンセーの評論家、中山康樹はうるさく聞け聞けって言うし(この人は、いったい何冊『マイルスを聞け!』という本を出せば気が済むのだろうか)、やっぱり聞いておいた方が無難ですね。

 で、大抵の場合、俗にマラソン・セッションと呼ばれるアルバム4枚分一気録りシリーズ(『クッキン』とか『リラクシン』とか……でも、マラソンって、やっつけ仕事ってこと?)とか、モダンジャズ最高傑作なんて言われてる『カインド・オブ・ブルー』とかいったアルバムが紹介されるものですが、私に言わせれば退屈なアルバムですな。暗い。眠い。

 確かにね、ジャズは都会で夜で霧雨のイメージですよ。『死刑台のエレベーター』って映画、ご覧になりましたか?マイルス・デイビスが音楽を担当したんですけどね。この監督のルイ・マルって人が、映画撮った(当時25歳)後に言うたんですよ。「しばらくはスリラーを手がけることは無いだろう。でもまたこのジャンルに戻りたい。ここには現代社会の非人間的側面、孤独、別離、探索、そして何よりも……夜があるから」……これですよ、これ!昔からジャズとミステリーが重なるのは、こういう部分なのですよ。まぁ、この監督が後にこのジャンルに戻ってきたかどうかは知りませんけどね。

 それはともかく、ジャズを初めて聞こうという人には「都会で夜で霧雨のイメージ」だからって、いきなりマイルスの暗いアルバムはキツイと思うのですよ、私は。何事も第一印象が肝心やのに、帝王やからってマイルスを聞いて「こんなんやったらジャズなんか聞かへんわ」なんてことになるのはもったいないし、実際そうなる確率が高いような気がします。そこで、比較的聞きやすいアルバムを選んでみました。マイルスのアルバムで「聞きやすい」っていうのは、マイルス臭さが少ないってことなのかも知れんのですけど、まぁ、そういうことは、この際、眼を瞑りましょう。私の好きな曲「ムーヴ」も入ってるし。←また、それか。


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