ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

マッハGoGoGo ミュージックファイル Round-1

[音楽]越部信義  2002年発売


♪恐いもの「など」GoGoGo~だと思ってました

 タツノコプロが自動車レースをテーマにバタ臭さ満点で描いた1967年の名作アニメ(覆面レーサーX役で愛川欽也も出演)のサントラです。いやぁ、マッハ号のデザインは神がかりの美しさですな。音楽担当は、「光る東芝の歌」(光る光る東芝っ 回る回る東芝っ 走る走る東芝っ 歌う歌う東芝っ みん~なみん~な東芝っ 東芝のマッアックッ!)や『鉄人28号』の「正太郎マーチ」、『サザエさん』のBGMで有名な越部信義。タツノコ関係だと『みなしごハッチ』、『樫の木モック』、『けろっこデメタン』いや、本当の代表作は「おもちゃのチャチャチャ」、「朝いちばん早いのは」、「あらどこだ」、「ちかてつ」、「勇気一つを友にして」といったNHK関係の童謡か。なにしろ『おかあさんといっしょ』のメイン作曲家を40年以上に渡って務めていたのだから、良い子なら体に越部節が染み通っているはず。更に80年代には日本コロムビアが出していたアニメ音楽をシンセサイザーによるインストゥルメンタル・アレンジで再現した人気シリーズ<DIGITAL TRIP>にも参加、『未来警察ウラシマン』、『聖戦士ダンバイン』、『宇宙刑事シャリバン』等を手掛ける(これらがほとんどCD化されていないのは実に残念極まることである)という八面六臂の大活躍。『日立 世界・ふしぎ発見!』のオープニングもこの人。1933年生まれ、2013年現在御年80歳!すごい人ですねぇ。

 本作は各回ごとに新曲を作曲、録音という珍しい手法を取っていたということで、このアルバムでは前半部の第1話から15話までのBGMを放映順に収録しています。これがもぉノリノリでたまらん出来。私は偶然再放送で第1話を見て、即サントラ購入を決めたのですよ。聞けば納得なので、すぐゲットされることをお勧めします。15話までのBGMということになっていますが、先に録音された曲は、当然ながら後の話でも流用されるので、耳に馴染んだものが多く収録されています。後編『Round-2』までゲットするにはお小遣いが足りないわという人でも、こっちさえ持っていれば大丈夫です。

 ところで、本作の主題歌は、うっかり八兵衛こと元スリーファンキーズの高橋元太郎が歌っていたことで有名ですが、八兵衛版は実はカバーバージョンで、オリジナルは『黄金バット』や『キャプテンウルトラ』などグッとくる作品の主題歌も歌っていたボーカル・ショップなのです。当時こういうコーラスグループは『妖怪人間ベム』のハニー・ナイツとか『サンダーバード』のロイヤルナイツとかいろいろあって、特に『サイボーグ009』や『ジャイアントロボ』のマイスタージンガーとはメンバーもダブったりしているので実にややこしい。それはともかく、このアルバムは、オリジナルであるボーカル・ショップ版TV用(TVサイズじゃないよ、なにしろフルコーラスなんですから)、つまりマッハ号がオートジャッキでジャンプする「びよんびよんびよん」みたいなSEもミックスされた放映バージョンを収録した「分かってる」名盤。ちなみに本作はアメリカで『Speed Racer』のタイトルで放送されていて、主題歌もほとんど同じメロディーのまま英語で歌われています(2008年には『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟が超ダメダメ実写映画化)。このアメリカ版主題歌は後編『Round-2』に(主題歌レコード用とともに)収録されているので、マニアはチェックしましょう。


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