ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

PUNCH THE MONKEY!

1998年


ルパン・ザ・サ~♪

 説明要りませんよねぇ、あれだけ売れたんですから。『ルパン三世』シリーズの曲をアレンジ、リミックスしたアルバム。このジャンルのものとしては空前の売れ行きだったそうです。一時期、地下街で流れる曲は全部これ、って時がありましたですよ。今や調子こいてパート3まで出してます。パート2は曲のセレクトや料理の仕方がイマイチでしたけれど、パート3は、そこそこイケましたよ。

 ただ不満なのは、誰も彼もが同じ曲を題材にしていること。リミックス盤ってのは、みんな有名曲をいじりたがるんで、蓋をあけたら全部同じ曲ってことがあるんですよねぇ。もっとも、リミックスするには、原曲が有名でなくてはならないという制約もありますから、いくらルパンシリーズだからって、誰も知らない『風魔一族の陰謀』『DEAD OR ALIVE』の曲を使うわけにはいかないのは分かりますよ(そもそも、大野と山下以外の曲があるなんて、誰も知らないでしょうね)。

 それにしたって、大野雄二の「ルパン三世のテーマ」は、もぉええから、他になんぼでもあるやろ、BGMも挿入歌も!って思わず突っ込みたくなります。大野雄二はイヤと言うほど、たくさん曲を書いてるはずですから。銭形マーチとかルパン音頭とか、何故か皆が無視してるピンク色ジャケットのパートⅢ(まぁ、無視されても仕方ないのかも知れませんけど……)にも良い曲がたくさんあると思うんですよ。「セクシー・アドベンチャー」や「フェアリー・ナイト」なんて、元が良い曲だし、いじり甲斐あると思うんですけど。

 山下毅雄にしたって、作ったのは主題歌だけじゃないですからね(もっとも現存してるのがME音源だけなのでサンプリングしづらいという事情があるのかも知れませんが)。もっと研究してバラエティー豊かにしないと飽きてきますわな。それから、個人的には、峰不二子の声をサンプリングするときはTV第1シリーズの二階堂有希子ちゃわん(©江口寿史)の方を使ってほしいですね。

 それにしても、小西康陽はいい仕事してますねぇ。他の人とは、やっぱり一味も二味も違います。ここで使った音源を「慎吾ママのおはロック」とかにも使いまわししてますしね。肝心のピチカート・ファイヴの方が最近パッとしないのは、こういうリミックス仕事に手を出しすぎてるからと違うのかしら。YMOのリミックスやらゴジラのリミックスやら、どっちもアルバムとしては実につまらんかった……。特にゴジラの方では一人だけ伊福部昭以外の音源を使って見識のあるところを見せていたけれど、YMOの方に至ってはオリジナルの偉大さを再認識させただけ。そうそう柳の下にドジョウはおりません。早くそのことに気づいて、真っ当な世界に戻ってきてほしいもんです。


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