ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

必殺!The Hissatsu Sound

[作曲]平尾昌晃 [編曲]あかのたちお  1986年


晴らせぬ恨みを晴らし 許せぬ人でなしを消す

 説明不要の傑作時代劇「必殺シリーズ」の、かの有名な「♪ぱらぱぁ~」のトランペット(スペインの作曲家ホアキン・ロドリーゴによる「アランフェス協奏曲」第2楽章のパクリ)をはじめとするBGMの大半は、平尾昌晃によって作曲されました。その昔、ミッキー・カーチス、山下敬二郎とともに「ロカビリー三人男」として爆発的な大人気を博し、今では押しも押されもせぬ大作曲家として活躍している人です。まだ清純だった頃の畑中葉子と一緒に「カナダからの手紙」をニヤニヤしながら歌っていたスケベそうなオヤジですよ。畑中葉子も最近見ませんねぇ……「後ろから前から」って凄いセンスの歌でしたがねぇ(作詞は荒木とよひさ)。

 それはともかく、このアルバムは、シリーズ最初期の3作『必殺仕掛人』『必殺仕置人』『助け人走る』のBGMを、歌謡曲の大御所すぎやまこういちの弟子で、『日曜洋画劇場』のテーマや、『戦国魔神ゴーショーグン』『マシンロボ ぶっちぎりバトルハッカーズ』を(ビューティ・ペア「かけめぐる青春」作編曲、田中星児「ビューティフル・サンデー」編曲も)手がけた、あかのたちお(ひらがな表記が一門の伝統か?)がアレンジ・再編成したものです。

 必殺シリーズの音源というと、キングレコードが出した「必殺シリーズ・オリジナル・サウンドトラック全集」(CD16枚!)という、なかなかに強烈な、しかしマニアなら必ず揃えなければならない商品があり、全部揃えれば、帯の美しい虹色のグラデーションを楽しめたりするのですが、さすがに似たような曲が多くて、一部を除くと、どれがどれだか分からなくなってしまったりと、少々辛いところがあるのも確かなのです。「必殺は好きだけど、アルバムを全部揃えるほどのマニアじゃないぞ」というオーディナリー・ピープルの皆さんは、とりあえず、このアルバムを聞いておけば、ほとんどの主要メロディーを聞けるので、大変お得です。なにしろ、この当たりの曲は定番中の定番として、後々のシリーズにまで流用され続けましたから。ただ、『新必殺仕事人』あたりからファンになったような方、ホスト系仕事師(秀、勇次、政、竜)が好きという方(こういう人が非常に多い)には、あの「主水の殺しのテーマ」なんかが聞けないので、物足りないかも知れませんね。

 「♪ぱらぱぁ~」のオリジナル・ミュージシャンであり、高橋達也と東京ユニオン、宮間利之とニューハード、原信夫とシャープス&フラッツ等を渡り歩いた本邦最高のトランペッター数原晋をはじめ、ピアノに美野春樹、ギターに元SHOGUNの芳野藤丸(「Lonely Man」を作曲したのは、この人です)、ベースに元SPECTRUMの渡辺直樹などトップミュージシャンが起用されていて、ジャム・セッションとしてもスグレモノの名盤です。


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