ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

兄尊「アニソン」

水木一郎  1999年発売


兄貴と一緒に歌おうゼェェェェェェェェット!

 アニメソング界の「アニキ」、水木一郎。「アニキ」って歳でもないと思うんですが(1948年生まれ)、今でも若手に混じって大活躍中です。男の子向けアニソン(特撮番組を含む)といえば、水木一郎、ささきいさお、子門真人が御三家。ちょっと下がって、ヒデ夕樹ってところですか。個人的な好みでいえば、子門真人の声(と歌い方)が一番好きなんですけどね。水木一郎はオーソドックスといえばそうなんですが、癖がないのが少々物足りなく感じるわけです。

 それはともかく、私が幼少のみぎりには、この人たちの歌声が日本中に轟き渡っていました。思えばアニソン黄金時代。アニメの主題歌が新人歌手のプロモーションに使われたりすることはなく、番組内容を反映して、かつ子どもにも覚えやすい歌が、しっかりとした力量を持った歌手によって歌われる。アニソンがアニソンらしくいられた幸せな時代でした。

 これは、そんな時代を思い出させる51曲入りのベスト盤。51曲も入っているのに、「あの曲がない!」と思わせるっていうのはスゴイことです。もっとも、持ち歌全曲収録なんてことになったら、何枚組のCDになるのか想像しただけでも恐ろしい。しかし、実際のところ、何曲あるんでしょうね、持ち歌って。24時間1000曲ライブを敢行したってことですから、そりゃ1000曲以上あるのは確実ですな。しかし、いくらなんでも、それをライブでやるかね。24時間で1000曲って、1曲あたり2分弱。ってことはフルコーラスじゃないから、間奏が詰められていることは間違いない。つまり、休む暇もなく、シャウトしまくったってことで(もっともスロー・ナンバーもあるでしょうが)、もう、かなり歳食ってるはず(しつこいですが、1948年生まれ)なのに、恐ろしい。生身の人間じゃない。絶対メカに改造されてるな、こいつは。

 さて、ジャケットだけ見てると、その伝説の1000曲ライブ盤かと思いますが、ちゃんとオリジナル音源です。ホッとします。やっぱり、こうでなくっちゃ。最近テレビやなんかでは変にシャウトして原曲の良さを殺してくれたりしてますが、ああいう間違ったサービス精神はいけませんね。どうして懐メロ歌手ってのは、歳を取ると、妙な「崩し」をするんでしょう。懐メロのファンってのは、昔聞いたとおりに「変わらない歌声」を聞きたいのに、そこのところが全然分かってないですね。昔どおりに歌えないなら、歌うべきではないし、変なアーティスト魂ゆえだとしたら、完全な勘違いですね。それにしても、このタイトルを考えた奴は偉いね。立派なセンスです。まさか「2」は出ないだろうな。もちろん、出たら出たで聞いてしまうんですが。


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