ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

銀幕演歌(ロック)-御意見無用-

2003年発売


馬鹿な 馬鹿な 馬鹿な女の 怨みぃ節ぃぃぃ

 昔懐かしい日本映画の主題歌を集めたコンピレーション・アルバムです。邦画なんて、暗くて辛気臭くて見てられないわ、というあなた。まったく的外れとは言いませんが、面白い映画も多いんですよ。最近の、三谷幸喜監督作みたいな、こじゃれたのもいいですが、60年代、70年代の映画を見てごらんなさい。映画産業が斜陽化してきて、半ばやけっぱちで撮られた低予算・速撮り・B級映画の面白いこと。これこそ娯楽!「洗練」なんてものからは程遠いかも知れませんが、昭和の熱いマグマがたぎって、暴力的なまでの迫力で迫ってきます。特に東映の映画は発狂モノですよ。

 さて、このアルバムには、ワールドワイドなオタク映画『キル・ビル』でも流れている梶芽衣子の「修羅の花」(東宝「修羅雪姫」……釈由美子じゃないですよ)、「怨み節」(東映「さそり」シリーズ)を完全収録!これだけでも感涙モノです。まぁ、あの2曲はカップリングでシングルになるらしいですが、どうせ聞くなら、このアルバムで聞きましょう。他にはクレイジーキャッツの「悲しきわがこころ」にそっくりな渡哲也の「東京流れ者」(日活の同名映画)とか、死ぬほど歌の下手な梅宮辰夫の「番長シャロック」(東映「不良番長」)や狂ってるとしか思えない「シンボルロック」(東映「夜遊びの帝王」)も聞けます。しかし、梅宮って料理以外に、何の取り柄もないよなぁ。大根役者、ここにあり!って感じですか。いつ見ても何見ても同じ演技。台詞は棒読み。アクションも出来ない。歳食って、下手に貫禄出そうとするものだから、余計に痛々しい。いや、ほんま、ボテ腹さらして何しとんねんって感じですね。娘の色恋沙汰に口出して、大失敗させとるし。て言うか、あの娘も、何の取り柄もありませんね。

 そんなことはさておき、これを車で聞いていると、深夜のタクシーの運ちゃんか工藤静香のポスター貼ったトラック野郎かって感じに浸れます。こういうのを聞くようになったらオッサンかなぁ。しかも、聞くだけじゃなくて口ずさんじゃうもんなぁ。鼻歌出ちゃうのよ。でも、妙に気持ちいいんですよね。やはり、日本人の琴線に触れるものがあるのでしょう。続編『続・銀幕演歌(ロック)-生きたい様に生きて死ね-』も負けず劣らずの名盤で、辰兄「ダイナマイト・ロック」、勝新「座頭市」、裕次郎「嵐を呼ぶ男」、藤純子「緋牡丹博徒」(この人も歌は下手やねぇ)、小林旭「ギターを持った渡り鳥」なんかが収録されています。メジャーな曲は、こっちの方が多いくらいです。宍戸錠の「ろくでなしの唄」は、曲調も声も「てなもんや三度笠」そっくり!しかし、最大の目玉は梶の「銀蝶渡り鳥」でしょう。感涙必至の名曲です。


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