ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

テレビ・オリジナルBGMコレクション キューティーハニー

[音楽]渡辺岳夫  2004年


しかして、その実体は……愛の戦士、キューティーハニーさ!

 あの『新造人間キャシャーン』より、そして、『デビルマン』より実写化に期待がかかる『キューティーハニー』(まぁ、『けっこう仮面』は別の意味で期待される作品やし)。でも、佐藤江梨子って「キューティー」かぁ?そりゃ小池栄子よりゃマシかも知れんけどさ、なんかねぇ……とかなんとか思っていたら、意外や意外、実に素晴らしい映画に仕上がっておりました。世間じゃ評価が低いようですが、騙されちゃいけません。おまけにサトエリはめちゃめちゃキューティーでした。認識を改めました。すみませんでした。こりゃ必見。いやマジで。

 まぁ、それはさておき、オリジナルであるアニメのBGM集です。1973年の作品ですが、新鮮さやなんやかやが失われないオシャレな名盤です。いや、むしろ現代において輝きを増しております。日本人なら知らぬものとてない有名主題歌ももちろん収録。あのスケベな詞を書いたクロードQって何者?って思っていたんですが、博報堂関西支社長代理で、大阪芸術大学学科長の岩崎富士男って人だったらしいですね。もともと化粧品のCM用に作って没になったフレーズを転用したとかで、名曲ってのは、どこから生まれるか分かりませんねぇ。

 そして、再放送ではカットされてしまいがちですが、アニメ史上に残る名エンディングテーマ「夜霧のハニー」、そしてキュートでポップで色っぽい、60年代後半~70年代な雰囲気満点の名曲の数々がいっぱいです。平和な日常テーマもオシャレでカッコイイし、ぱっぱっぱやっぱぱやっぱ、わぁ~♪な女声スキャット(変身シーンの曲です、念のため)も実に気持ちよく、更にはパンサークローのテーマ(しゃばだっしゃばだっしゃばだっしゃばだっしゃばだぁ~♪)も恐ろしく、さすがは渡辺岳夫、ええ仕事してはります。あんまりええ仕事なんで、ハニーの世界を表現するには他の曲なんか考えられません。というわけで、サトエリの映画でも使われています。

 渡辺岳夫の仕事では、『白い巨塔』(当然、田宮二郎版である)や『機動戦士ガンダム』(両者のBGMって、そっくりよ)、『巨人の星』『天才バカボン』『アルプスの少女ハイジ』『赤かぶ検事奮戦記』(フランキー堺時代から使われている曲)なんかが有名ですね。なんでも、タンゴが好きだったそうで、『魔女っ子メグちゃん』の「ひとりぼっちのメグ」、『俺はあばれはっちゃく』の「タンゴむりすんな!」なんかが趣味を生かした名曲。『緋牡丹博徒』主題歌は、作詞作曲ともに手がけて大ヒット(ただ、藤純子の歌は……)。という具合に、偉大な作曲家ですし、ヤマタケの『ルパン三世』『プレイガール』が再評価されるのなら、ナベタケの『キューティーハニー』だって再評価されて然るべし、と思うんですが、意外と話題になりませんねぇ。オリジナルのLP発売(1982年)から3回もCD化(1990年、1995年、2004年)されてる人気盤・名盤だというのに。ヤマタケよりも、とっつきやすく万人向け(褒めてます)なので、是非お試しあれ。


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