ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

BJT

BAROQUE JAZZ TRIO  1970年録音


正統派に見せかけて、実はかなりイッてる曲者アルバム

 バロックとはポルトガル語の「barroco(歪んだ真珠)」から来た言葉で、16世紀末から18世紀中頃にかけてヨーロッパ全土に盛行した芸術様式のこと。ルネサンス様式の均整と調和に対する破格であり、感覚的効果をねらう動的な表現を特徴とし、激しい情緒表現や流動感を持つ傾向にあるという……分かったような分からんような説明ですね。それにバロック・ジャズって言葉の意味がよく分からない。バロックといわれて思い浮かぶのはクラシックでしょ、普通。クラシックとジャズといえば、ジョン・ルイスの仕事とかが思い浮かびますが、定義自体はよく分かりません。まぁ、意味なんか分からんでも音楽は楽しめますからな!(←開き直り)

 そのバロック・ジャズを演奏しているのが、その名もズバリ、バロック・ジャズ・トリオ。メンバーは、チェロ奏者Jean-Charles Capon(ジャン=シャルル・カポン)を中心に、ドラムのPhilippe Combelle(フィリップ・コンベル)、チェンバロ奏者Georges Rabol(ジョルジュ・ラボール)。フランスの名門サラヴァ・レーベルに残されたアルバムなのですが、このレーベルは、1965年にヨーロッパ最古のインディペンデント・レーベルとしてフランスに設立されたレーベルで、なんでも、当時のプレスは非常にクオリティーが低い事でマニアには知られているらしい。元々は有名なフランス映画『男と女』の資金不足により誕生した即席の音楽出版社で、『男と女』の出演者のピエール・バルーが設立したそうです。録音の質が悪いのも、むべなるかな。

 で、このアルバムは、前述のトリオに、曲によってフルートだのコンガだのシタールだのをフィーチュアしたフレンチ・ジャズの秘宝盤と言われているものなのです。秘宝かどうかは知りませんが、確かに今まで聞いたことない音色が気持ちよい。ピアノをチェンバロ、ベースをチェロに置き換えるだけで、退屈なピアノ・トリオがこんなふうに変身するんですねぇ。それにしても、このチェンバロってのは、なんとも言えん緊張感をはらんだ金属的な音色を持っていて大好きなのですが、チェンバロとハープシコードが同じものだということを、今の今まで知りませんでした。チェンバロってイタリア語なんだってさ。まぁ、そんなこと知らんでも音楽は楽しめますからな!(←再度開き直り)

 この音楽がバロックなのかどうなのかと訊かれても、よく分かりませんが、クラシックとジャズの融合というだけでは説明できない、妙に東洋な雰囲気が充満しております。シタールを使った曲があるから、ではなくて、曲調自体がいろんな民族音楽の要素を取り入れていて、オリエンタルでエスニック。でも、ありがちな「全曲ダウナー系で睡眠促進」ではなく、やたらノリノリの曲もあって、一筋縄ではいかないアルバムです。


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