ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

BEBE GODZILLA

PATRICK GAUTHIER  1980年


ヨーロッパじゃゴジラって、こんなイメージなのか?

 プログレッシブ・ロック、なのであります。何の予備知識もなしにこの単語を聞くと、何かこう、重々しくも刺激的、荘重でありながら破壊的、神聖な教会でチェーン振り回して血みどろ、『エクソシスト』『サスペリア』かと言ったようなイメージが湧いたりします。なにしろ「革新的なロック」なのですから、そりゃそれなりのモノはあるだろうと思うのですが、そもそも「ロック」というものの定義が分かってないのです。ロックとポップスの違いが、よく分からなくて、歳のせいかロックには不良とか革ジャンとかバイクとかのイメージがあるので、一般受けがポップス、ちょっとハードになるとロック、更にマニアックになるとプログレ、そして人外魔境がヘビメタみたいな捉え方をしてるんですが、違うのかしら?

 もっとも、このアルバムは、アコースティック・ジャズに飽き、エレクトリック・ジャズにも飽き、変わった楽器を使ったジャズはないか、メロトロンとかムーグ・シンセサイザーとかを使った面白いアルバムはないかと探していて見つけた一枚です。なにしろゲテモノ大好きの私ですから、ちょっと変わった楽器が使われていて、変わった音色を響かせてくれるアルバムには目が無いのです。プログレだということで、少々身構えもしたのですが、タイトルに「ゴジラ」の名が入っているし、全曲インストでボーカル嫌いの私でもOKだし(ちなみにプログレで全曲インストのアルバムって珍しいらしいです)ということでゲットしてみました。

 で、これは、フランスのキーボーディスト、パトリック・ゴーシェのファースト・ソロ・アルバム。この人は、フランスのプログレッシヴ・ロック・グループ「HELDON(エルドン)」「MAGMA(マグマ)」の主要メンバーとして活躍し、1976年にはベルナルド・パガノッティとともにマグマを脱退して「WEIDORJE(ヴィドルジュ)」を結成。マグマのミステリアスで前衛的な暗黒宗教風のコンセプトを発展させた演奏を行っていましたが、1979 年に解散、ソロ活動に転じました。

 アルバムは、マリンバ、バイオリン、ハモンド・オルガンなんかも入った、軽快で明るくて、想像していたのとは全然違いました。「これって、フュージョンじゃないの?」っていうくらい軽くて、私が抱いていた「プログレ」のイメージには、リターン・トゥ・フォーエヴァーの『浪漫の騎士』の方が近いくらいで、いわゆるジャズ・ロックの方が、まだ重厚な気さえして、正直言って拍子抜けしたくらいなんですけれど、まぁ、私が勝手に血みどろなイメージを抱いてただけですからね。ジャンル分けって、そんなに厳格でもないんでしょうし。非常に聞きやすいので、ひょっとしたらプログレ入門者には最適なのかもしれません。それにしても、タイトルの「Bebe Godzilla(べべ・ゴジラ)」の意味が分からん。「赤ちゃんゴジラ」ってどういうことでしょうね。ミニラ


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