ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

SHOUT!!

THE GOOD-BYE  2004年


桜中学3年B組 梶浦裕二

 ジャニーズのロックバンドは、男闘呼組にしろTOKIOにしろパッとしないのは何故なんでしょう。天下のジャニーズ事務所ですよ。やりたい放題のはずなのに、こればっかりはどうしようもないのでしょうか。ロックバンドをやろうなんて連中は我も強いでしょうから、そうそう簡単には飼い馴らせないのかも知れません。

 我が強いなんてイメージから程遠い野村義男もロックバンドを組んでいました。リーダーは曾我泰久、他のメンバーは加賀八郎、衛藤浩一と、まったく知らない名前です。デビューは1983年なのですが、同期デビューが伊藤麻衣子桑田靖子、銀蝿一家の岩井小百合松本明子、ジェームス・ディーンみたいだった大沢逸美、『陽あたり良好!』で声優やってたなぁ森尾由美とマニアックな面々で、「不作の83年組」と言われました。このバンドの曲というと5thシングル「にくめないのがニクイのサ」と12thシングル「マージ―ビートで抱きしめたい」しか知らないし、1990年には解散してしまったので、やっぱりセールス的には大苦戦だったのでしょう。

 で、これは彼らの7thアルバムで、「マージービートで抱きしめたい」が気に入っていたのか、「ビートルズ以外の60年英国ビート・バンド」のカバーアルバムという企画盤です。当時流行っていた「マージービートで唄わせて」(竹内まりや)『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、「日産Be-1」の3つを使って何か出来ないか?ということで「昭和30年代にタイムスリップしたザ・グッバイが、セピア色の映像の中で演奏する」ミュージック・ビデオを制作、そのサントラとなっています。キンクスの「オール・オブ・ザ・ナイト」、デイヴ・クラーク・ファイヴの「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」、ジェリー&ザ・ペースメイカーズの「恋のテクニック」、ヤードバーズの「フォー・ユア・ラヴ」、クリケッツの「ドント・エヴァー・チェンジ」なんかをやっていますが、やっぱりオリジナルである「マージービートで抱きしめたい」が最高。シングルのジャケットはビートルズの「抱きしめたい」日本盤のパクリで、実にそれっぽくてイイ仕事です。

ちなみに、マージービートとは、イギリスのリヴァプール(ビートルズの故郷ですね)を流れる川から命名されたもので、イギリスの労働者階級の若者がアメリカのリズム&ブルースをよりポップなテイストで演奏したものだそうです。なんか分かったような分からんような説明ですが、いわゆるリヴァプール・サウンド(ビート・ミュージックとも言われる)です。そんな昔懐かしくって、ちょっと切ない青春の味みたいなサウンドが、懐かしの洋楽ファンはもちろん、古きよき歌謡曲やグループサウンズ好きな方には打ってつけで、このバンドの最高傑作と言ってもいいと思います。しかし、こういうマニア向けの仕事しててよかったんだろうか、この人。トシちゃんやマッチは派手に活躍してたっていうのにねぇ。


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