ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

MONTY MEETS SLY AND ROBBIE

MONTY ALEXANDER  2000年


ジャズでレゲエでゲテモノでキモチイイ

 モンティ・アレキサンダーと言えば、ミルト・ジャクソンと競演した『ソウル・フュージョン』(こんなタイトルですが、ジャズです。)しか知りませんでしたが、こんなものを作る人だったんですね。紹介しといて「こんなもの」呼ばわりも我ながら酷いとは思いますが、まず真面目なジャズ・ファンなら見向きもしないアルバムであることは疑いもない事実。

 でも、やってる曲はジャズの有名曲ばっかりなんですよ。ハービー・ハンコックの『ヘッド・ハンターズ』に入ってる「カメレオン」ラムゼイ・ルイスの「ジ・イン・クラウド」リー・モーガンの「サイドワインダー」アート・ブレイキーの「モーニン」キャノンボール・アダレイの「マーシー、マーシー、マーシー」……まぁ、ガイドブックには必ず載ってるアルバムの曲たちですよ。個人的には「ソウルフル・ストラット」が大好きなんですが。これは、ヤング・ホルト・アンリミテッドの曲で、1969年(私の生まれた年だ)に全米第3位となる大ヒット……なんてことは今だから知ってますが、実は長年探し続けてた曲だったのです。その昔、FMでやってた『渡辺貞夫のマイ・ディア・ライフ』って番組で流れてたんです(今思えばオリジナルじゃなくて、誰かのカバーだったな)。めちゃめちゃカッコいい曲だったんで、一発で虜になったんですが、DJ小林克也の発音が良過ぎて(当時は「そぉるふぅるすとらぁくとぅ」って聞こえた)、曲名が分からなかったんですね。当時はネットなんて便利なものも無いし、調べようにも方法がなくて、どこかで偶然耳にする機会を待つしかなかった。いやぁ、懐かしいなぁ、高校の頃だったかなぁ。

 てな思い出話はさておき。ジャケットを見てもらえば分かると思いますが、普通のアルバムじゃありません。実は、レゲエなんです。まぁ、レゲエはジャマイカ生まれの音楽ですし、同じくジャマイカ生まれのモンティ君が演奏するのは不思議でもなんでもないのかもしれません。で、スライ&ロビーってのは、なんでもレゲエで最高のリズム・セクションの名をほしいままにしたリズム・ユニットだそうで、そのサポートでもってノリノリに演奏してるわけです。おまけに「ダブ」とやら(楽曲のリズムをより強調するようにミキシングし、エコーやリバーブなどの過剰なエフェクトを施し加工することで、全く別の作品に作り変えてしまうこと。リミックスの元祖とも言われる。)の効果を駆使しちゃってるので、より奇妙な世界が展開しています。特に「モーニン」の変わりようときたら、トンデモナイ出来です。ハッキリ言って変態です。ゲテモノです。しかし妙に耳に残るのです。恐れることなく、お試しあれ。


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