ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ダイキチデラックス

Jazz Erotica

RICHIE KAMUCA  1957年録音


中身はスケベじゃありません

 テナー・サックスはリッチー・カミューカ、トランペットはコンテ・カンドリ、トロンボーンはフランク・ロソリーノ、ドラムはスタン・リーヴィという面々が吹き込んだアルバムなのである。ここに挙げた4人は、全員モード・レーベルでリーダー作を吹き込んでおり、あの怖い顔の油絵ジャケットをエヴァ・ダイアナに描いてもらっている。モード・レーベルは1957年に設立されたものの、30枚のアルバムを残して1年足らずで消えた幻のレーベル。そんなところでリーダー作を作れるくらいなんだから、ウエスト・コースト・ジャズの名手であることは言うまでもない。そんな人たちが吹き込んだアルバムなんだから、ちゃんとしたジャズなのも頷けるでしょ? こんなタイトルやジャケットではあるけれど、中身はエロとは全然縁のない残念な……もとい、健全なウエスト・コースト・ジャズの名盤なのである。

  しかし、さすがにこれじゃあレジに持って行きづらくて、売れ行きに響くということになったのか、後に「West Coast Jazz in Hi-Fi」とタイトルを改められ、ジャケットも海岸に楽器が刺さっているという、なんだか青春な、でもよく分からない写真に差し替えられた。しかし、これなら売れると思ったのかね? 最初にタイトルにエロチカとつけて、ヌードのジャケットで売ろうとしたこと自体意図を測りかねるが、差し替えたジャケットがこれで、タイトルが何のひねりもない「ハイファイ・レーベルの西海岸ジャズ」っていうんじゃ、誰の触手も動かんと思うが。どうも、このハイファイ・レーベルのお偉いさんの考えることは、よく分からん。

 まぁ、それはさておき、実店舗で自らレジに品物を持って行くなどという行為に御無沙汰になっている昨今、ジャケットがヌードだろうがなんだろうが、一切の躊躇いもなく買えてしまうのは実にありがたい。しかし、ネット検索するときにセーフモードをオフにしなきゃいけなかったり、Amazonだとアダルト商品に分類されてたりというコンプライアンス偏重時代の不便さがあるのも事実。なんだか嫌な世の中だわね。


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