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ジョニー・リトル(ライトル) JOHNNY LYTLE


 私は、ジャズ喫茶店主にしてジャズ評論家の寺島靖国氏のエッセイが好きでよく読むのですが、氏は、いわゆる2 in 1って奴が嫌いだそうです。2 in 1というのは、LP1枚分だと時間が余ってもったいないから、2枚分を1枚のCDに収めちゃったアルバムのことです。氏曰く「あんなものは作品ではなくて商品だ」ということです。あんまりたくさん似たような本があるので、どれに書いてあったか忘れましたが、確かに書いてありました。快楽主義者たる寺島氏の姿勢には深く深く共感する私ですけれど、この意見には首肯できませんねぇ。商品、結構じゃないの。て言うか、商品以外の何物でもないではないか。変な芸術主義なんかクソくらえざます。商品である以上、お徳であることに越したことはない。消費者は大喜び。というわけで、私は2 in 1、大いに推奨します。もっとも、ジャズと演歌の2 in 1なんてのは願い下げですよ。で、これが2 in 1アルバム『GOT THAT FEELING/MOON CHILD』(1962、63年録音)。スタンダードもたくさん聞けるので、二重に嬉しいものです。


 寺島氏に挑戦するわけじゃないけれど、2 in 1を連続して紹介しますね。『The Loop/New and Groovy』(1966年録音)。もうひとつは『Easy Easy』(1980、1989年録音)。ややラテン風味が加味されて、なかなかウキウキなのです。後者は『FAST HANDS』『HAPPY GROUND』というアルバムのカップリングなんですけれど、EASY EASYって一体何なんでしょう?そんな曲が入っているわけでもないのですが。ついでに言うと、この人の苗字、「リトル」なのか「ライトル」なのか「ライティル」なのかハッキリしてくれ。国内盤CDには「リトル」と書いてあるけれど、綴りから見ると「ライトル」が正しいような気がするのですが、誰か決着をつけてください。


 それにしても、この人のヴァイブはびんびん響きますねぇ。ヴァイブ大好き、そして自らヴァイブの伝道師を名乗る私は、まぁ普通の人よりは多くのヴァイブ奏者の演奏を聞いていると思いますけれど、こんなに響く人っていないですねぇ。録音のせいなのか、そもそも、そういう音色なのかは知りませんが、ああいう楽器ですから、しょぼしょぼ鳴っていたって仕方がない。くすんだヴァイブなんて嬉しくないですからね。それにオルガンと組むことが多いのも嬉しいですねぇ。でも、輸入盤しかないので、まったくデータがないのは困る。スキャナーで読ませたら、パッと翻訳してくれるようなソフト、翻訳こんにゃくみたいなものを誰か開発してくれないでしょうか。と、そんなことを言っていても仕方がないので分かる範囲で書きましょうかね。この『The Village Caller!』(1963年録音)を買おうと決意した決め手は①私の大好きな「ON GREEN DOLPHIN STREET」が入っている②オルガンが入っている③ごてごてした編成じゃない(ヴァイブ、オルガン、ベース、ドラム、パーカッション)の3点ですね。こういう具合に収録曲や編成で選んだりするあたり、なんかカッコイイですね。


 ジョニー・グリフィンのテナー入りで、より一層ノリノリの『NICE AND EASY』(1962年録音)は国内盤で出ているんですよ。でも紙ジャケットなのよね。とにかく紙ジャケットって奴は許せませんね。最近じゃ音質向上させて再発、あるいは世界初CD化なんてものは、初回限定とかなんとか言って、必ず紙ジャケットになっているけれど、あんなものをありがたがっている奴は本当にいるのかね?私はバリバリのLP世代(CDが出たのは大学に入った頃)ですが、今更あの体裁で出されても嬉しくも何ともないぞ。大体、強度に疑問があるし、取り出しにくいし、薄っぺらくて安っぽいし、いいことなんかひとつもない。どこをどう押したら、あれが「特典」として考えられるのかね。もっともプラケースだって安っぽいと言えば安っぽいけれど、それなら輸入盤でよく見かけるパカッ、パカッて三つ折りになる奴にしてくれればいいのに。紙ジャケでさえなかったら、買おうと思っているアルバムは何枚もあるんだぞ。各社とも、よくよく考え直して作るように。



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