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ジョン・メッツガー JON METZGER


 出た!ジョン(ヨン、って読むのかなぁ……?)・メッツガー!日本広しと言えども、この人をバーンと紹介しているのは私だけに違いない!これを読んでいる君たちは幸せだ!というわけで、我ながら熱気のこもった紹介文だ、レッツ・ゴー!この新進ヴァイブ奏者を皆さんに御紹介できるのはヴァイブの伝道師たる私の大いなる喜びなのである。あぁ、やれゲテモノ好きだの邪道だの言われながらもヴァイブ一筋に聞き漁ってきた甲斐があった。あぁ報われた。生きていて良かった。このアルバムを聞いたとき、私は嘘でも誇張でもなく、心の底からそう思ったのである。この人の名はジョン・メッツガー。一応、カタカナでそう書いてはいるが、本当はどのように発音するのか知りません。メッガーかも知れんし、メットガーかも知れん。なにしろ、輸入盤だからライナーは読めないし、国内盤なんか発売されてない。おまけに、どこを探してもディスク・レビューがない。ヤフーでもグーグルでも、あらゆる検索システムを駆使しても日本語ページにヒットしない。とにかく日本語で紹介したものがまるでないのだ。で、あるからして、多分、このサイトが日本初のジョン・メッツガー御紹介サイトである。名誉である。


 さて、この『THE SPINNER』(1996年録音)は、私が知る限り唯一リーダーの担当楽器別にCDを陳列しているJEUGIA三条本店(最近プレイヤー別に変えやがった、ちくしょうめ)で偶然見つけたもの。普通なら、こんなジャケットのアルバムなんて絶対買わないですよ。なんか安物のブルース・ウイリスみたいだし(て言うか、ウイリス自体が既に安物という話も……)、見たことも聞いたこともない人だし。でも、ヴァイブですからね、試しに買ってみようかな、と手に取ったのが正に運命の出会い。聞いてみて驚いた。これが本当に1996年の作品なのか。黄金の50年代、60年代のものではないのか、と。最近のヴァイブものというと、やたらといろんな楽器やリズムを使って音楽そのものを難解にして、肝心のヴァイブの音色は殆ど聞こえない、作曲家、アレンジャーとしては評価されるのかもしれないけれど、一ヴァイブ奏者として満足させてくれる演奏の作品が少ないわけです。そこへいくと、このジョン・メッツガーは、こんなに新しい録音にもかかわらず、ヴァイブ、ピアノ、ベース、ドラムというオーソドックスな編成。そして曲も演奏もよし、往年のハード・バップ黄金時代を思わせる素晴らしい出来です。ほとんどが自作曲、ということは作曲家としても優れた才能を持っているということですね。


 でも、そんなの『THE SPINNER』一作だけ、という恐れもあるので検索してみると、メッツガーのアルバムはもぉ1枚だけ(つまり2枚しか入手できない)。『Into the Light』(1988年録音)です。これが見つかったので、早速聞いてみました。あぁ、やはり素晴らしい。こんなアルバムが欲しかったのだよ。英語のライナーを拾い読みすると、この『INTO THE LIGHT』が2枚目、『THE SPINNER』が4枚目のリーダー・アルバムらしい。幻の1枚目と3枚目をすぐに入手可能な状態にしてくれ。すぐにでも聞きたいぞ。そして、できれば今度はギター入りのアルバムを作ってくれ。とにかく全身全霊を込めてオススメするジョン・メッツガーなのである。御静聴ありがとうございました。



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