ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

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ゲイリー・バートン GARY BURTON


 ジャズ・ヴァイオリンというものがあって、その第一人者はステファン・グラッペリという人だ、ということは知識として知っていたものの、ゲテモノ好きの私としてはヴァイオリンも押さえとかんとアカンのかなぁ、でもなぁヴァイオリンならクライズラー&カンパニー(高田万由子のダンナ)のアルバムを持ってるしなぁ、全然関係ないけど、高島ちさ子って可愛いよなぁとかなんとか思っていたら、おっ!あるじゃないですか、ヴァイオリンとヴァイブの組み合わせ!その名も『PARIS ENCOUNTER』(1972年録音)。これならジャズ・ヴァイオリンを代表する一枚としてコレクションに加えてやってもいいわい、むほほほ、苦しゅうない近う寄れ、などと笑いながら買ったのである。まぁヴァイオリンなんてなものも一枚くらい持っていてもいいかな、なんて軽い気持ちで買ったら、これがまた、なかなかいい感じ。ヴァイオリンって陰鬱だし辛気臭そう、なんて思っているあなた、そんな先入観は捨ててお聞きなさい。ちょっとした拾い物よ。


 ……って、ここはヴァイオリンのコーナーではなくて、ヴァイブのページなのだね。というわけで、 ゲイリー・バートンですが、よく「硬質」と評されますね。要するに、あんまり気持ち良くないということでしょうか。でも、ボビー・ハッチャーソンほどじゃないと思いますがねぇ。バートンといえば、チック・コリアとのデュオなんかが有名で、透明感あふれる『クリスタル・サイレンス』(1972年録音)や『ダスター』(1967年録音)が聞きやすいです。


 しかし、私としては、ヴァイオリンだのバンドネオンだのとの異種格闘技戦を多く戦ったゲテモノ系ミュージシャンと捉えてみたい秋の空。というわけで、『葬送』(1967、1968年録音)。こういうのを前衛というんでしょうか。いきなり変な鎖の音が聞こえます。結構たくさんの人が参加しているアルバムなのに、寒寒した印象です。バートンはどこにいるの?という感じで不思議なアルバムですね。たま~に取り出して聞きたくなる変なアルバムです。


 次のアルバムなんかジャズですらないもんね。『Astor Piazzolla Reunion』(1998年録音)。タンゴやもんね。しょうがねぇじゃねぇか、買って聞いてみたらタンゴだったんだからよぉ、などと標準語チックに絡んでみても仕方がないが、ゲイリー・バートン得意の異種格闘技戦、今回はバンドネオンとの一戦なのである。これがまた、なかなか妙な味わいで、やっぱり海外旅行に行ったら現地の変な食い物食わんとアカンやろ、ってなもんです、関係ないですか。さて、バンドネオンとは何かよく知りませんが、多分アコーディオンみたいなものなんでしょう。しかし、これ、タイトルになっているアストル・ピアソラは一曲しか参加してないぞ、JAROに言いつけてやる。それにしても、このジャケットのセンスがたまりませんね。誰やねん、このオヤジ。スケベ丸出しのチョビヒゲ。指の先までシャル・ウィ~・ダァ~ンス?しかも、バックは金色でクリムトを気取ったのでしょうか。



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